第4話


魂君とケンカしてから5日。


今のところ全く音沙汰無し。

私、天使なのにこんなことしてていいのかな…



「こんなに離れたの初めてだな~。いつもは長くて1日ぐらいしか離れてなかったからなんか変な感じ。空を眺めて雲が何の形に見えるゲームとかやるもの一人じゃつまんないし、飽きちゃった。」



そろそろやることもないからこの町の散策にでも出ようと思った時、



『もしもしアズや、聞こえていたら返事をしてくれないかい?』



!?こ、この声は…



「神様…はい、聞こえております。」



何で神様が今のタイミングで連絡を?

いつも49日が残り7日とかになったときとかにしか連絡来ないのに。



『おぉ、よかった。こんな形で連絡するのは久々でな、ちゃんと届いているか不安だったのだよ。』

「あ、あの、何かありましたか?」

『いやね、アズと担当魂の位置がかなり離れたところにいる気配がするからね、気になってしまったのだよ。』



うーーーん。バレてる。

これは、完全に神様に見透かされているやつですね。

さすが神様。

お見通し、というわけですね!



「はい。その通りです。担当魂と少し言い合いをしてしまいました。」

『ふふっ、そうかいそうかい。ケンカしたのだね。』

「どうして笑っているのですか?」

『アズが担当魂とケンカするなんて今までなかったじゃないか。だからね、私は嬉しいんだよ。幼いころに亡くなり天使として選ばれてからずっと、私だけではなく魂たちとも交流はあったがなかなかケンカすることはなかったからの。』



そう、私たち天使は元はみんな人間だった。

ただし人間であればみんな天使になれるわけじゃなくて、幼いころに何かしらの原因で亡くなっていることが条件。

そこから神様たちに選ばれた人が天使になる。



幼くして亡くなった私たちは、成人する年齢もしくは10年間は天使として働かなくてはいけない決まりになっている。

どうしてかって?

それは、幼かった私たちに社会経験をしてほしいかららしい。

天使になって最初のころにそう説明された。



ちなみに、任期が終われば転生できる決まりになっているの。

私はまだまだ天使でいなきゃいけないんだけど…。



それにしてもケンカしてるのに嬉しいってどういうこと。



「なんでケンカしたのに嬉しいのですか?私は今どうしたらいいのかとても困っているのです。なんで彼が今のような感情になっているのか全く分かりません。私は本心が口にでてしまっただけなのに。」

『そうかいそうかい。アズは本心を言ったのに担当魂はそれを聞いて怒ってしまったと。それはアズにとっていい経験になりそうだね。』



もう、ここまでくるとただの意地悪さんだよ…。

少しヒントとかくれてもいいじゃん?

普通お母さんとかお父さんだったら教えてくれそうなのに。



『んー、意地悪さんにはなりたくないからのお。しょうがない。少しヒントをやろう。』



また心読まれてれる…。

でもヒントくれるなんて優しい。

さすが神様!



『アズ、君が本心を話した時、担当魂の気持ちを考えたかい?』

「彼の気持ち?」

『そう、アズに言いたくて言った訳じゃないとしても、だ。思っていたのと違う本心を話されたときに担当魂がどういう気持ちだったのか、考えたかい?』



私が思っていたことが口に出ちゃったときの彼の気持ち…?

そんなの本人じゃないんだからわかるわけないじゃん。

だってわざとじゃなし。



『それが分からないなら、もうヒントはあげられないのお。ふふっ、まぁ、頑張るがよいよ。』

「え、これだけ!?」



うそ、通信切られちゃった。

何のヒントももらえずに連絡終わっちゃったよ。

これじゃあ私は何で彼を怒らせちゃったのかわからないじゃん。


そもそも本心を話した時の気持ちなんて…

彼自身じゃないと分からないじゃん。

ってことは、本人になればいいってこと?

自分だったらって?


…へ?

頭おかしくなりそう。


私、想像するのとかもしもって考えるの苦手なんだよね。

でも今回は彼の為にちゃんと考えたい。



頑張れ私。







-つづく-








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