第3話
「なぁ、まじで行くのか?今すぐに?」
「当たり前です!今行かなかったらまたどこか隠れたりするでしょ?」
「もうそんなことしないよ。」
彼の眼は真剣だった。
今までのだるそうな瞳ではなく、真剣に訴える目。
「わかった。今すぐ行くのはやめますが、いつならいいですか?」
「1か月後…。」
「何言ってるんですか!?1か月待ったら49日終わっちゃいますけど!?」
「デスヨネ。じゃあ、2週間じゃだめか?」
「2週間…それならギリギリだけどいいですよ。」
2週間…
魂にとっては貴重な時間なのに、どうするんだろう?
でも孤児院に行くってなったから緊張とか、怖い気持ちとかあるのかな。
「2週間も何するんですか?」
「いや、いきなり行くのは心の準備が必要だから…」
「なるほどなるほど。」
「何だよ。」
「怖いんですね!」
「うるせえ。」
こんな口の悪い魂君でも怖くなるんですね。
でも今までの事を考えたらそうだよね。
「あのさ、質問があるんだけどいいか?」
「なに?」
「お前が天使になった理由ってなに?自分から志願したの?」
「そ、それは…守秘義務です。」
「守秘義務って、俺は自分の過去話たのにずるくないか。」
「それは業務上仕方なく聞くしかない状況だったじゃないですか。あと、掟もあるので…。」
「何それ、意味わかんね。」
聞かれるかもとは思ってた、思ってたけど…
本当にしょうがないの。
過去の話を聞かないとどうしてそんなに挨拶に行きたくないのかわからないじゃん。
このまま担当魂が地下送りとか嫌だよ、私。
それに、過去の話をし始めたのはそっちだし…。
「お前そんなこと思ってたんだな。」
そう言った彼は不機嫌そうに腕を組んで立っていた。
声に出ちゃってた…。
「今のは、違う。声に出そうと思ってなかったんです。」
「は?出そうと思ってなかったって、それさぁ。あんた最低だな。」
彼の放つ言葉が、態度が、視線がとても冷たい。
さっきまで普通だったのに急に態度が冷たくなった。
何でそんなに不機嫌になるのかわからない。
事実だもん。
「ちょっと2週間一人にしてくれねぇ?」
「一人になったらごはんとかどうするんですか?お腹すきますし、ねるときどうするんですか?」
「約2週間分の飯くれればいいよ。少なくてもいい。寝場所は自分で何とかする。」
「…わかりました。」
こうして私は彼に2週間は持つであろう分の食糧を渡し、2週間離れることになった。
-つづく-
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