第2話

最後の望みで魂君と最初に話した公園に来た。

なんとなく回りまわってここに来るかなとか思ったりして~。



公園で一番高さのある土管に乗って見渡してみてもいない…



私の当てが合ずれた?

そんな…また探しに行かなきゃいけないなんて



「もう、どこに行ったのさーーーーー!!」

「げ、まじか。」



下から声がする?

気のせいかもしれないから、もう一回!



「どこにいるのさーーーーーーー!!」

「うるせぇよ。」



私の下にある土管の中から声がした。



「え?あー、こほん。ここにいたんですね。やっと見つけました。」

「そんな焦って探したりしてませんよ?みたいな顔されても俺は騙されないし、行かないからな。」



土管の中に体操座りしながら何を言っているんだか。

いい年して土管に体育座りって…窮屈そう。

でもこれをクリアしないと生まれ変われないんだってば!



「てか、まだ何も言ってないのですが。」

「顔がそう言ってる。」

「なっ!!と、とりあえず、”お世話になった所”といっただけで、”お世話になった人”とは言っていないです!そもそもどうやって生きている人と話すんですか?第一、話をちゃんと聞かずにクリアだろとか言い出すし、しまいにはへそ曲げて走ってどっか行っちゃうし、せめてちゃんと人の話は聞いてください!子どもですか!?いや赤ちゃんですね!!」

「うるさい。赤ちゃんは話せないだろ。あと、へそは曲げていない。てかそもそも人じゃないだろ、あんた。」

「揚げ足を取らないでください!」

「……はぁ。」

「もういいです。強行突破します。最後の項目クリアしに行きたいんですけど、行きますか?それともこのまま地下に行きたいですか?」

「もうめんどくさいな、わかったよ。降参だよ降参。」

「ありがとうございます。じゃあなんで行きたくないか聞いてもいいですか?」

「はいはい。分かったよ。話せばいいんだろ、話せば。」



魂君はぽつぽつと話し始めてくれた。



生前は孤児院で育ち、学校でいじめを受けていたらしい。

まぁ、その内容が私には信じられないほど酷かった…


最初は部活内での些細な嫌がらせから始まり、そこからなぜか学年へ広がってほとんどの人から嫌がらせを受けていた。

本来味方になってくれるはずの先生たちはみな見て見ぬふりで、魂君の味方になってくれるどころか信頼して相談した内容を嫌がらせしてくる本人たちに流していた。

それを魂君が知ったのはある日相談した先生しか知らない内容を相手側が言ってきたからで、そこで彼は人間が誰も信じられなくなるんだけど…ここまでされたら当たり前だよね。私もなると思う。むしろよくそこまでされて何もしなかったな、と思う。

このころから魂君は学校にはどこも居場所がないと感じていたし、自分はこの世にはいらないのでは?と思うようになったらしい。


さらに追い打ちをかけるように、学校の先生からもう学校をやめたら?つらいでしょう?という提案があった。

魂君からしたら『お前はもういらない』と言われているようでならなかったとの事だけど、絶対そう思ってるよね。でもね、魂君がそれは俺自身を守るためもあるし、いじめが収集がつかないからではないかと冷静になった今なら考えられるがって…あの、さすがにお人よし過ぎません?まぁ、聞いていた私にも『お前はいらない』って言っているようにしか聞こえないから、当時の魂君には本当に残酷な提案だったんじゃないかな…。

彼は結局自主退学という形で学校を去ることに決めたみたい。


それで孤児院は楽しかったけど、この世にいる意味が分からなくなってしまったから自ら命を絶つという選択を選んだということだった。



この内容を彼は淡々と表情も変えずに語るから、それがなぜか余計に悲しい。

天使として踏み込んではいけない気がするけど、なにかできないかな。




「ふぅ、いっぺんに話したから疲れた。つかなんでそんなに泣いてるんだよ。」

「うぅっ…だって、だって、ぐすっ…その学校ひどすぎでしょ!先生は生徒を守ってくれる立場じゃないの!?どんなに仕事が忙しくても、見て見ぬふりはだめだし相談内容口外するなんて論外、最低な行為だよ…。本当に。」

「だから俺は世話になった場所なんてないんだよ。わかってくれたか?」

「それは、ずび…違うと思います。だって孤児院は楽しかったんでしょ?そしたら、そこはお世話になった場所じゃないですか。」

「あそこも俺の居場所なんて無い。」

「行ってみないと分からないでじゃないですか!さぁ、行きますよーーーー!!!」

「ちょっ!おい!!」




彼の話を聞いて何としても転生して幸せになって欲しいと思った。





-つづく-








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