地球が米寿を迎えた日

ヤミヲミルメ

地球が米寿を迎えた日

「地球が八十八歳のときってどんなだったと思う?」

「何だよ急に」

「さっき近所の人がさ、おじいちゃんが米寿だとかって話してて」

「それで何で地球の話になるんだよ」

「気になるじゃん。地球のこと」

「まあ、なるわな」

「なるんだ!」

「オマエが言ったんだろ!?」

「んでさあ、ちょっと調べてみたんだよ(スマホぽちぽち)」

「うんうん」

「地球が誕生したのがおよそ四十六億年前なんだよな」

「それくらいなら漫画とか図鑑とかで読んで知ってたはずだけど、知る度に忘れるよな」

「四十六って数字が中途半端なんだよな。六十四ならよかったのに」

「いや、よくねーよ。六十四も中途半端だよ。しかも今のを聞いちゃったせいで、どっちだったかわかんなくなるよ。次のテストで六十四億年前って書いちゃうよ」

「じゃあ八十八億年前ってことにしておこう。これなら逆になっても大丈夫だ」

「やめろー! 混乱するー! テストに八十八億年前って書くー!」

「とにかくまあ、地球が誕生してから四十六億八十八年が経ったわけだが」

「何だよその端数」

「およそ四十六億年だからな」

「その“およそ”はたぶん数千万年単位だぞ」

「恐竜が絶滅するレベルか」

「ティラノサウルスも八十八歳とか生きたのかな?」

「三十歳ぐらいが寿命だったらしいぞ」

「マジか。ロックじゃないな」

「ロックミュージシャンは二十七歳で死ぬってやつ? 八十八歳で亡くなったロッカーだっているぞ。ロックの歴史を作った一人であるロイド・プライスとか、ベンチャーズのドン・ウィルソンとか」

「待て待て。ご近所さんの米寿の話だったろ? 亡くなる話ばっかするなよ」

「デスメタルの話にするか?」

「お祝いの品の話とかにしろよ」

「デスメタルのライブのチケット」

「それってじいちゃんにあげるようなものかよ?」

「じゃなくて売りつけられたんだよ。そのじいちゃんがやってるデスメタルバンドのバースデーライブの」

「ロックだな、じいちゃん!」


「「ありがとうございましたー!!」」

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地球が米寿を迎えた日 ヤミヲミルメ @yamiwomirume

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