第一志望
本当に入社したいと思える求人を探した。
そうじゃないと、取り繕いそうだから。
「…あ、ここいいかも。」
求人資料を家に持ち帰る。
「ねぇ、ぼん。ここいいなって思う。」
文字も何もわからないだろうけど、ぼんに見せる。ぼんは、ちゃんと興味津々で見てくれる。
ジュエリーの加工の仕事。
私は、今までジュエリーを売る仕事をしてた。
ジュエリーは特に興味なかったけど、やっぱ綺麗だなって思ってた。削る人は、ほんとすごいなって。
「…もっと強い志望動機じゃないと、ダメかなぁ…。」
「きゅきゅ!どっぼ!んーん!」
「…あ、また取り繕ろうとしてたね。ありがと、ぼん。」
「んきゅ!」
「よし、決めた。ここ受ける。もし受かったら、ぼんに高級イカソーメン買ったげる。」
「きゅわわぁあ!」
ぼん、嬉しそう。
面接の日。
「こちらで椅子にかけてお待ちください。」
「あ、はいっ!」
案内の人が部屋を出て、時計の音だけが響き渡る。
「…ふぅ。」
緊張してきた。
––モゾッ。
「…?」
「…ぷっきゅ!」
ぼんが、スーツのジャケットのポケットから顔を出した。
「!ぼん…!来ちゃったの?」
コソッと声をかける。
「んっきゅ!」
––わかった。こいつ、高級イカソーメンのために全力なんだな。
「…ふふっ。緊張ほぐれたかも。ありがと。」
「きゅ。」
ポケットに戻った。
––ガチャ。
「こんにちは、お待たせしました。」
「こんにちは!柊真実と申します。よろしくお願いします。」
面接が始まった。
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