就活


「では、この会社はいかがでしょう?休日は120日、残業も月に10時間ほどです。プライベートを充実させられますよ。」



私は今、就職相談所に来ている。



「はぁ…。」



プライベート、か。

彼氏がいた時は、喜んで受けただろう。

でも、その彼は…もういない。



「休日は気にしないので…」



「では、何を最優先にしますか?」



「えぇと…人間関係、ですかね。」



「うぅん…人間関係はなんとも言えません。相性にもよりますので…。」



「そう、ですよね…。」



「でも、人とあまり話さない仕事はあります。製造になりますが…」



「…一応見せてください。」




いくつかの会社の資料を持ち帰り、家でゆっくり眺める。




「んきゅー?」



「ん?今ね、私無職なの。仕事辞めた後、彼と一緒に住む予定だったんだ。でも別れちゃった。だから急いで職探し。」



「んきゅきゅ。」



ぼんは、私が作ったテント型の布の家に入り、イカソーメンをかじり始めた。



「慰める気なっ。ぼんはケサランパサランじゃねーな。」



私は笑った。



「…あ、このパン屋、好きなとこだ。」



パン屋の正社員募集があった。

6:00〜15:00出勤。

日・火曜日休み。給料は良いが、休み少なめ。



「…まぁ、朝は強いし、休みはなんでもいいしな。」



「んきゅー。」



––あ、そうか。ぼんがいる。

あんまり家に置いておくのは、可哀想か。




他の求人を見る。

とりあえず、経験不問で土日休みの製造会社をいくつか受けてみることにした。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る