魔王様は小さい子がお好き?65話から

食連星

第1話

そう。

いや,どうするかまでは聞いてない.

俺が決めるから.

あとは任せとけ.


「女、子どもを守る事は未来を守る事。」

そう、建前上は。

だから、

「コウは姉上を。

タカはクツナを頼む。」


「はっ。」

っと聞こえた。


『コウ。

まだ幸いな事に婚礼の儀が、まだだ。

蝙蝠族は知らぬ存ぜぬで過ごせ。

クツは一切関係ないとして。』


『それは…』

『命令だ。

姉上を連れて里へ行け。』


『タカ。

クツナを連れ行け。

龍族、クツナについては一枚岩になっておらぬ。

もし、鷹族里に反逆者が来れば、

クツナを引き渡し、鷹族を守れ。』

『…』

『早く承知しろ。

我が子となった以上、一蓮托生だ。

基盤を用意出来なかった事、我の落ち度。

お前らが気に病むことはない。』

そう、此方の動きが遅かっただけの事。

待ったなしだ。

『もう良い。

連れ行け。命令だ。』

最後迄何も言わぬか。

『待っております。』

『待つな。良いな。』


「よしっ。

じゃあ、皆達者で。

迎えに行けるよう最大限努力する。

コウ、タカ、頼むな。」

コウもタカも奥歯に物が挟まったような顔で…

もう、これ以上の事は出来んよ。

こっちは少し笑って、

安心感を与えねーとなー。

「クツもクツナも言う事聞くんだぞ。」

ふはっと笑った。

「ここは大丈夫だ。

もう良い、行け。」

ほら散れ散れ.


「ご無事で。」

口々の言葉を聞きながら、頷く。


俺物理的に乗せられるけど、

コウもタカも無理だから

亜空間に突っ込むか、一緒に徒歩。

今回は2体とも亜空間に突っ込んで行くっぽいな。

見送った。


さぁ…

いきますかっ。

まず、姿をヒト型に戻そう。

龍で行くと、まず城の入口から破壊しながら、

入る羽目になるからな。

デカめの種族が中にいる。


廊下を普通に歩く.

城の中,転送できるけど,

揺らぎが出たら先に見つかる.

なんか結構

あちこちガタがきてる.

城ん中.

古いよな.

姿戻したら壊れる位の大きさは

いかんよ.

城作るー?

めんどくない?

俺いつまで城主かわかんねーし.

まいっか.


階段も普通に上がる.

何で階段とか上がらにゃいかんのよ.

はぁ.

いいけど.

ぱっぱっぱで行ける所を,

勝手な侵入者のために変な労力を

使わないといけなくなって.

腹立ってくんな.


ん?

声が聞こえる.

聞き取りにくいな.

南の方の奴ら?

玉座の間を盗み見る.

あんまり気を配ってない辺り,

詰めが甘い.

こんなに近付かれて駄目だろ.

お城へツアーに来ちゃったー?

これ.

何しに来た奴らなんよ.おい.


おぉう,

見た感じ巨人族だけど…

一つ目族とのコンボか.

一つ目って言うけど,

でこの1つが余計についてるから,

三つ目だろうよ.

待て,こいつは三つ目なのか…

三つ目族っていたっけ…

あぁ…

これ,マジで今どうでもいい話.


元々,ガタイが違うから,

体格差が大きすぎる.

このままじゃ分が悪い.

悪いけど…

ここで姿戻したら,

多分城がもたない.

城が崩れて,椅子がそのままの状態で,

あり続けられるかが,

よく分からない.

形をなしてなくても

クツナの魔力が大丈夫かどうか,

聞いときゃ良かった.

もう,今はどうしようもない.

どうしようもない事から,

玉座は,そのままの形で残すべき.

じゃあ,どうする.


だけど,あいつらがチョロチョロ,

椅子に何度も座ると…

壊れそう.

両方の手すりにのってる形だもん.

手早くいかないと.


逃げるか、戦うか。

逃げるのも出来ない。

戦うのも出来ない。

どうする。

参ったなぁ。

ちょっと笑っとこう。

こんな時、正直に表情は出さない。

余裕は作るから出るんだ。


あれだな,後は…

対話.

一人じゃないんだから.

相手もいるんだから.

やりますか,とことん.

駄目な時は決裂したでいいや.

巨人族纏めて面倒見てやろうね.

これしかないって思い込んでる時が

一番余裕なくって,危ない.

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