第5話
テーブルには
久保田無濾過生原酒 年に一回の特別な品
久保田にごり酒
久保田萬寿
定番の3本と
ウィスキー白州が置いてある。
テーブルには
白子合え
クジラの燻製
ボンボンショコラ
あんこうの肝テリーヌ
金目鯛の麹焼き
横にはトリュフのバスクチーズケーキが
ワンホール
もちろんこちらはゴルゴがフォークを持ち
早速、食べ始めていた。
にごり酒をレモングラスで割り
クジラの燻製と食べているエミリーは
「しょっぱいし不味い、あり得ん」
と暴言を吐きながら
岡山産の桃のすりおろしとにごり酒を
混ぜている。金目鯛の焼き加減は気に入っていたが味が全く個性が無いと酷評。
ゴルゴはメモしていく。
クマのトレーナー上下に着替え、頬は赤らんで出来上がっている模様。
「ゴルゴちゃんさ、最近どうなの」
「何が。あっっ、うめー、このチーズケーキ
最高、おれ天才かもしれん」
「いやアンタ鮨職人でしょ。熱の入り方違うでしょ」
「違ない違ない」
ゴルゴはリスのように口いっぱいに頬張り
ムフムフしている。
「お前だってスイーツ配信してんのに家じゃスルメしか食わないじゃん」
「ダイエットしてんの!てか、飽きたの」
「飽きたぁ?ここに来た時からご飯に岩海苔つけて食ってただろ!」
ゴルゴは女性が苦手だった。男性をシェアハウス募集していたのだが、エミリーがどうしてもと頼み込み、期間限定で許可をしたのだった。
最初エミリーは黒髪ショートの、米をよく食べる大人しい子だった。何も問題は無く、ゴルゴはこの子なら大丈夫か、、と思った矢先、徐々に配信を始めたエミリーが今の姿になるのに半年かからなかった。個室でこっそり酒とスルメを嗜んでいるのを知り、店から貰った酒を提供したら今の宴の習慣が出来上がっていた。
時々、エミリーは仕事柄、提供でデザートを大量に貰い、ゴルゴに食べてもらう。
ゴルゴは酒にあう料理の味見をしてもらう。
夜9時過ぎから始まる2人だけの、本当の自分を曝け出す宴会だった。
エミリーは誰にも優しく、機転が効いて
場を盛り上げる天才だった。
アルコールが効いていなければ。
日本酒の瓶が3本転がる頃には、ゴルゴに執拗に迫るのが習慣だった。
「ゴルゴちゃん、あたしの事可愛いって本当は思ってるでしょ?」
「悪いけど全然、おれショートが好き」
「ゴルゴちゃんさ、素直になりなよ?」
「うるせい」
「焼き物上手い、天才的。でも和物が多いよ、お腹パンパン」
「うる、、ハイ分かりました」
エミリーはゴルゴを怪しい目で見ている。
「ねぇゴルゴちゃん。。抱いて?」
「毎晩言ってんなよバカじゃねぇの?だから女は嫌いなんだよ」
「何それ酷!!」
ゴルゴは後片付けを始めた。
自分の個室に戻ったエミリーは
壁に頭をぶつけながら
「バカだよ」と呟いた。
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