第4話
「こんにちはー今日はマリンダホテルのアフタヌーンティーに来ています!ずっと来たかったから最高〜!きゃー豪華です!」
エミリーは金髪を巻き、ロリータのドレスに身を包み、高層ホテルのラウンジで
ライブ配信をしている。
幾多ものスイーツでテーブルが埋まり、自撮り画面のコメント欄にはエミリーの可愛さと料理を羨ましがる意見が飛び交う。
エミリーは次々と小さなケーキを食べながら、笑顔で全てのコメントにお礼を言う。
知らない人との交流はお手のもの、誰だって良い気分にさせて、みなファンになる。
エミリーはライバーとインスタライブを交互に行い、主にロリータファッションをしてスイーツの食べ歩きをメインにしていた。
目鼻立ちも端正で、ホテルの客から写真をお願いされる事もしばしばで、登録者は10万人を超えたばかり。
それだけで月数十万になるのだから、来年就職でも就活なんかしない。他のアルバイトもする気もないし、好きな事以外は絶対にしないと決めていた。
ピロン。
友達からのLINEを見て少し顔が暗くなる。
「就職決まりました!」
「内定2つめ!打ち上げしたーい」
決まった組は無邪気にグループラインに投稿する。しない組は上っ面のおめでとうスタンプをひとつ打つ。
エミリーはホテルからの眺めを見下ろした。
下には蟻のような人間達。
私はただの凡人にはならない。
不安なんか無いよ。
人生一度きり。
自分の好きを貫くだけ。
誰かの言いなりなんて格好悪い。
ただ。。
ただ。。
「あたし、スイーツよりお酒が大好きなんよね」
テーブルには食べ残した大量のケーキ、シュークリーム、フィナンシェ、チョコレート、スコーン。。
エミリーは席を立った。
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