異世界で旅してるおばあちゃんへ

無頼 チャイ

おばあちゃんへ

「元気ですか? ぼくは今日も元気いっぱいです。毎日学校でがんばってます! おばあちゃんは今イセカイにいるってお父さんとお母さんからきいたよ。イセカイってテレビでよく出てるやつだよね。剣とか魔法とか、怖いモンスターがいっぱい出てくる世界。そんな世界でおばあちゃんがどんな風に頑張ってるか考えたよ。

 おばあちゃんは凄く優しいから、きっと王さまとか勇者とかの悩みを聞いて助けてると思うんだ。おばあちゃん物知りだから、きっといっぱいいっぱい色んな人に色んな知らないことを教えて助けてると思う!

 あと、おばあちゃんって将棋が強いから、モンスターが襲いかかったら将棋で返り討ちにしてると思うんだ。お父さんも勝てなかったって言うから、きっとおばあちゃんなら悪い魔王を将棋でやっけれるよ!

 あとあと、おばあちゃんの夢だったがいこくりょこう、叶ったね! イセカイなら魔法があるから、おばあちゃんが気にしてた足の痛みなんて気にせずりょこう出来るよ! だって、空飛ぶ魔法のじゅうたんとか、羽の生えた馬とか、いっぱいあるからきっと楽しいりょこうが出来ると思う!

 でもね、たまにでいいから帰ってきてね。おばあちゃんにまた絵本読んでほしいんだ。おばあちゃんが作ったしょっぱいおにぎり、もう一回食べたいな。もう好き嫌いしないからもう一回作って。

 あと、おばあちゃん今日で米寿? なんだっけ? えと、88歳のお誕生日おめでとう! ぼくね、おばあちゃんのためにすっごいの作ったんだ。帰って来たらプレゼントするね!

 あとちょっとしか書けないや。だからね、その、

 元気にね!」


「以上だよ、母さん。健人のためにも早く元気になってね」


 白い部屋にある白いベットに、いくつもの機械から細いチューブが伸び、白髪の老人に繋がっていた。

 男が優しく老人の手を握ると、その手に手紙を握らせた。


「そういえば、母さんに将棋で勝ったことなかったんだっけ、次は勝つからね」

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