第6話 白と黒の終着



 道を引き返せないまま。


 終着点で、出会った白の女王と黒の女王。


 その宇宙の中で、残る世界はなくなった。


 一つ残らずなくなった。


 何もなくなってしまった。


 何も残らないまま、そこまでたどり着いてしまった。


 だから、たくさんの虚無をかかえて、もはや何のために戦いを行うのか分からないまま、二人は決着をつける異になった。


 二つの女王の力は互角。


 戦いは永遠に続くかと思われた。


 だから女王は、この戦いが永遠に続くと思いかけていた。


 しかし、そこに勇者が現れて、二人を攻撃した。


 その攻撃は、二つの女王の体を貫いて、膝をおとさせた。


 勇者はその女王たちを見て言った。


 価値のない世界を処分するのは手間がかかるから、自分達で自ら壊しあうように仕向けたのだと。


 その時になって、白の女王と黒の女王は、ようやく真の敵を見つけたのだった。


 しかしそれは遅すぎた。


 どうしようもないところまで行き過ぎた。


 だから、彼女達は何を残す事も出来ず、一つの反撃する事も出来ずに散っていくしかない。


 そして、一つの宇宙が崩壊した。


 あとには何も残らない。


 そこに、最初からなにもなかったかのように。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

白の女王と黒の女王の物語 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ