第七十四話 再会の血と薔薇
天上影は変らねど
栄枯は移る世のすがた
写さんとてか今もなお
ああ荒城の夜半の月
――『荒城の月』 (詩:土井晩翠、曲:滝廉太郎)
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「嫌に静かですね、
『自分から呼び出したからには、相当の自信が有るのでしょう。』
「究極の力を手に入れたのだから、妨害しなくても自分が対応すれば事足りると……。」
「それなら、最初からそうすると思いますけど……。」
足早に廊下を行く二人の前には、
『そうでもなかったみたいね……。』
目的の部屋まで蟻の眉間とした
「中等部
「あいつらまで……。」
「御機嫌よう、
その内の一人、紅一点の女子生徒が口を開いた。その禍々しい雰囲気に、三人とも覚えが有った。
「まさかお前は、
「御名答、
女子生徒の身体が纏っていた紫の闇が一気に膨れ上がった。
「
三人の中学生男子が
「行きなさい、可愛い後輩達! 最後の先輩を仲間に入れてあげるのよ‼」
三人の男子生徒が一斉に飛び掛かって来た。しかし
「
「承知しました。『
「中学生の女子を相手に随分と乱暴じゃないですか、
「不本意な悪事を強要される生徒が居れば相談に乗り、邪悪から解放し救出すべく全力を尽くすのは教師として当然だろう。」
二人は硬直状態。流石の
しかし、この隙に
「無駄な事を……。先程も言いましたがね、
「ふ、果たしてそれは
「知った風な口を……‼」
事の始まりに生じた因縁が火花を散らしていた。
☾☾☾
『
「解ってますよ、
一つ息を整え、
「失礼します。」
足を踏み入れた
奥の席に、
「おはよう、
「おはようございます、
ただ、丁寧に、敬意を持って接する、というのが
「
「嬉しい御言葉ですが、残念ながら
そんな彼の思惑を知ってか知らずか、
「少し、お話ししましょうか……。」
「望む
彼女は窓の外、
「我が所有物ながら、素晴らしい
「ええ、
何を言い出すのか、と思った
「緑豊かな自然の中、温故知新の理念によって充実させた施設で勉強することが出来る
「そうですね。」
「表面上は、だけれどね……。」
彼女の言わんとする意味は、既に
「その、取り繕われた表面上の化けの皮を剥がすと、どんなに
「巨万の富と名声を
裏側を知れば知る程、汚らわしいとは思わないか。――その問い掛けに対し、
「しかも、その身勝手な目的は現在の
窓の方から
言葉とは裏腹に、彼女の胸の内に有るのは
その凍て付く様な恍惚の中に垣間見えるのは、愉悦。
罪を糾弾するという、己を上位者に置く物の暗い優越感。
己の指名一つで他者の尊厳を奈落へと突き落とす、魂の生殺与奪権。
「
「
即ち、もう一つの感情とは……。
「
「この
「それでも、この
心に芽生えた怒りの感情の
「確かに、
「そうよ。だから
「何でもそうだけれども、
「それは違いますよ、
「
「
「忘れてないですよ。
「だから
『
黙って聴いていた
「
「成程……。では、結末を導きましょうか。
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