第七十話 冷血なりせば
いつの日か過去を振り返ったとき、苦心にすごした年月こそが最も美しいことに気づかされるだろう。
――ジークムント・フロイト
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「小僧、
(こいつは
握り締める
(
相手は
(なら、その
「何か狙っているな? カウンターか?」
だが、それと判っていて
(何を考えているんだ?)
敵に狙いを看破された
(ただ、見破られた以上初撃で合わせるのは厳しいかも知れない。戦いの中でどうにか隙を見付けるしかないのか?)
そうこう考えを巡らせている内に、
瞬間、
「ほう?」
次の瞬間、
(今のは⁉)
「
『何をやっているの?
そう、
(
瞬時に
『仕方無いわね……。』
再び、
「はぁ、はぁ……!」
『どうやら思っていた以上の難敵の様ね。
「解りました。済みませんがお願いします!」
「威勢が良いなァ。そういう奴を
それは、相手の事を完全に信用していなければ成り立たない作戦だった。しかも、一方で
それは丸で、反抗期の息子が親に悪態を吐く様な信頼だった。無論、その反発心は例に比べて遥かに妥当なものではあるが、思春期特有の感情と相手が決して自分を見棄てない、自分を守る為に最大限努力するという確信に満ちているという点でよく似ていた。
「中々やるじゃねえか。じゃ、一つギアを上げていくか。」
そんな中、
「ぐっ‼」
痛みと同時に、一撃でも貰うと終わりだという確信が
「おっと‼」
(
一方で、
「何やってんだよ、
予想外の硬直状態に焦れているのか、屋上から
「そんな雑魚餓鬼に手間取るなんて、らしくねえよ! 早く、いつもの殺戮ショーを見せてくれよ‼」
自分も散々
「
「おー、そうだな。
「ふざけるなよ、
「ゲッ‼
「よ、暇だから一飛びして遊びに来たぜ。ま、
「う、うわわわわわァーッッ‼」
「あああああーッ⁉」
「おい、
「うごおおおおっっ‼」
闇の眷属となった影響で絶命こそ免れた
「情けねえ野郎だ。ま、所詮あいつは
しかし、その一人の強敵が難攻不落だった。一見、状況は互いに硬直しており、
『思ったより骨が折れるわね。攻撃を
『
「ええ、解ってます!」
言われる迄も無い。
では、その不安とは何なのか。その答えは直ぐに、最悪の形で腑に落ちる。
「中々やるな、小僧。では更に一つ、ギアを上げるとしよう。」
「え⁉」
『何ですって⁉』
(あ、これ終わった……!)
拳が繰り出される前に、
全てを嘲笑うかの様に、
「ご苦労だったな。不毛に張り合おうとする姿は中々滑稽で愉快だったぜ。」
何の事は無い、この男はこの場の
その気になれば、
そして悲しい事に、
確実な死の前に、せめて美しい思い出を。――そう思い始めた刹那だった。
「うおおおおっ‼」
「あああああっ‼」
二人の男女の上げた気勢が聞こえた。先程まで
「小賢しい……!」
しかし、
「うらあああッ‼」
「
「ぐおおおおっ!」
これには流石の
「悪かったな、三人共喧嘩に復帰するのに時間が掛かっちまった。
『
相変わらず気持ちの切り替えが早く、そして容赦の無い
「やりますよ、勿論。」
『そう来なくっちゃ。』
そんな彼と
「
「
痛々しい姿の
彼だけではなく、
『皆、この男をこのままにしてはいけないわ! 必ず、この場で
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ここまで御読み頂き誠に有難うございます。
本作も残す所後十話となりました。
最終話更新は12/31を予定しております。
何卒、最後までお付き合いくださいますよう、宜しく御願いいたします。
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