第二十話 平穏の終わり
Si vis pacem para bellum. (汝平和を欲さば、戦へ備えよ。)
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翌日、日曜日。
「
「いや、
「相変わらず読書優先かよ。」
「切りが良い所まで後もう少しだから待ってい
毎度毎度、この
『昨日今日と別な男とデートだなんて、節操の無い男ね。』
そんな
『
「どっちとも付き合ってないですよ。」
「待たせたな、
「あ、もう行くのか?」
「丁度章が終わった。最初の目的地へ向かおう。」
「最初の目的地、ねえ……。」
☾☾
やって来たのは大型の書店だった。
「お前本当に毎回
呆れる
「本は宝、書店はその山だ。昨今何でもネットで読むのも買うのも可能になっているが、この実物に囲まれる感覚というものはやはり得難いものがあるのだ!」
更に、彼が向かう本屋は
「良し、次行くぞ
「はいはい……。」
二人は次の目的地へと向かった。
☾☾
棚に敷き詰められた本は一様に年季から黄ばんでいて、独特の臭いを発している。
「大型書店が財宝を蓄えた城なら、古本屋は秘宝が眠る洞穴といった所か……!」
中にはとうに著作権の切れた著書もあり、単に読むことが目的ならばこんな所で買わずともインターネットで読む手段はある。
「ここへ来れば、本を実際に手に取れば、その著書が間違いなく
「もう本は良い?」
「何を言う。」
「じゃあ、今日も行くんだな。」
「うむ、次の目的地は図書館だ。」
鋭い目を幼子の様に輝かせ肌を艶めかせる
☾☾
図書館への道中、良い時間帯になったので二人は昼食にイタリア料理を食べることにした。
「食欲は戻ったようだな。」
「
この一週間、色々な事があったが、
「まだ
「狂気って……。」
「
「うぐ……!」
「
「お前はそういう奴だよ……。」
「
「ああ、無いと言えば無いが、あると言えばあるな……。」
「何だよ、はっきりしないな。」
「あると言っても、相当間接的な接点だからな。
と、その時
「おい、どうしたんだよ?」
「いや
「何だよ、一体?」
「面倒臭い奴が居たのだよ……。」
どうやら
「見付かってしまった……。」
「誰に?」
「
「
「どうも……。」
スケバン風の人物は中性的な声で
「そいつは友達?」
「初めまして、
「折角だからよ、
「すみません、これから結構予定が立て込んでまして……。」
「何だそうか……。」
「わかったよ、じゃあまた今度な。明日登校したらそっちの教室行くからよ。」
「か、勘弁してくださいませんか?」
「行くからよ。」
「ところで、お前が噂の
濃いアイシャドウを施された
「聞いていた通り可愛い男じゃん。結構モテるだろ、
「え? いや全然……そんな事無いです……けど……。」
「ええー、そうか? お前みたいな男と付き合いたいって奴、多いと思うけどなー……。」
派手な紫の口紅を塗った口角を
そんな
「明日、
ぐいぐいと距離を詰められ、耳元で囁かれ、
(化粧品の匂い、凄……。
そんな風に思っていると、
「じゃあな、
そう告げて長い髪とスカートを靡かせる後姿を、
そんな様子に、
『少しは反省したかと思ったけれど、まるっきり変わっていないわね、あいつは……。』
どうやら彼女も
「何者ですか……?」
『
その関わり合いになる
「そう言えばあの人が来るのは明日からか……。頭が痛くなるな……。」
「だから誰なんだよ……?」
『嫌でも判るわよ。明日登校すればね。』
(半年前の自分の行動を本気で呪うよ……。)
ともあれ、事態の急変から一週間が過ぎ、状況は新たなステージに向けて確実に動いていた。
☾☾☾
機械のモーターとブロアーの音が鳴り響く部屋に、無数のチューブで繋がれたキングサイズの棺桶の様な装置が置かれている。
それを取り囲むように、白衣を着た
「
白衣の男、
「
「
長身で筋肉質の美少年・
そんな彼へ、緑色の縁の眼鏡を掛けた背の高い少女・
「そっちは順調そうですねー。」
「ああ、何よりも大事な計画の肝だからね。」
「誰にも邪魔させるわけには行かない。それこそ、
装置に繋がれた透明な管を紅い液体が勢いよく流れ始めた。
「ドレンが始まったな。」
「よくこんな状態で保ちますよねー。」
「これは悲願なのだ! 偉大なる豪商にして教育者・
「今
装置の
「
「
二人の言葉を受け、
「その意気や良し‼ では二人とも、栄えある
残された
明日は刻一刻と迫る。
余りにも多くの問題を
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