第十九話 一つと二つ
自らを善き者と信じ、善き者たらんと努める人を善人と呼ぶ。
自らを悪しき者と信じ、悪しき者たるべからずと努める人を悪人とは呼ばない。
意思によって努めることこそ、人間の尊さである。
――
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帰宅して夕食を採った
『
約束通り、
『それは極めて邪悪な存在。面白半分に誰かの人生を狂わせる害悪。
「それはまあ……確かに……。」
『
「
『ええ、数学教師・
「また?」
「一度目があったんですか?」
『そうね。
「
『一度目に失敗したのは、
「つまりその為に、
『嫌な言い方だけれども事実だから仕方ないわね。埋め合わせはしようと思っていたけれど、批難されても
帰りのバスからそうだが、
「あの時、
『……一つになっていた二つのものを分離した、その結果があの夜
「二つの
『そういう事ね。恐らく、あの悪魔が一度姿を
「それが判っていたから、
『その通り。』
「今の話を聞くと、
『実際、味方よ。彼本人はね。』
「つまり、今日見た先生は別人が先生に成り済ましている存在だと?」
『まあ当たらずも遠からずといった所ね。彼の中に入っている者こそ、
実のところ、
今、その正体が
それも相変わらず釈然としない所は多いが、唯一つだけ明確に変わった事がある。
「その『敵の親玉』が
『でしょうね。差し詰め、
「光の勢力と闇の勢力の戦い、ですか……。何というか、その……。」
『分かっているわよ! 陰謀論めいて陳腐なことくらい! でも実際、眼に見えて厄介事が起きているんだから呼び方は些細な問題でしょう!』
白く
ふと、
(どうしよう……。
こうして、この日の二人の対話は終了した。休日、
☾☾☾
翌日、
「ま、
一人の巨漢がそんな
「そりゃ約束したからね。遊びにくらい行くでしょ。ただ、高校生として健全な場所に限るけど。」
「わ、解ってる!
数日前に不良を束ね、
『恋が人を変えたのね。このまま更生してくれれば
茶化す
「何これ……?」
「
手渡されたそれをよく見ると、チェーンが
「な、何やってるんだよ‼」
「何って、
「平然と言うな! 嫌に決まってるだろ‼ 何が『絶対に迷惑は掛けない。』だ! 舌の根も乾かない内に変態プレイを要求するな‼」
「ま、
「
『いいじゃない、ペットにしてあげれば。従順に懐いてくる男って可愛いものよ? 多少
「冗談じゃありませんよ。それと、
無責任な事を言う
『何なら抱いてあげれば? 彼も
「なっ……⁉」
突然の指摘に
「ど、どうしてそれを……?」
『どうしてって、思春期の男の子が一週間何もせずにいて平気な筈ないもの。』
尚、実際には禁欲によって
『
「丁重に……お断りします……。」
『ふぅん……?』
姿こそ
『まあ、余り生意気な態度を取る様だったら
「それは本当に勘弁してください。」
待ち合わせの段階から二重三重の恥辱を味わった
☾☾
その後、
「いやあ、今日は楽しかったぜ。一生物の思い出にするよ、
「まあ普通に遊べたから良しとしておくよ。」
「そう言えばよ、
「何だよ?」
「これから、
「どうするって……。」
「一刻も早く元に戻せるよう色々調べる、それしかないよ。」
「そっか……。
「出来れば
「
そうだよな、と
ここで、
『一つ、効果的かも知れない情報があるわよ。』
「え?」
『その男にこう伝えなさい。〝近くあの男の停学が解けるから、余り調子に乗らない方が良い。〟とね。』
「どうした、
「いや、一つ情報があって……。聞いた話によると、もうすぐある男の停学が解けるって事らしいんだけど、それって
「何だと……⁉ そりゃ
「な、何それ……?
「
さらりと危険人物として
「やばい人?」
「本当に知らねえのか? 不良の世界じゃ有名なんだが……。」
「いや、知る訳ないじゃない。」
「マジかよ……。」
「
「ええ⁉ 嘘でしょ⁉」
「嘘なんか
どうやら大真面目な
「一応、名前を聞いてもいい?」
「マジで知られてないんだと、すげえショックを受けてるぜ
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