第十六話 暴かれた本性
清皇帝は一八三九年三月広東にて引き渡された阿片の価値、及び清朝高官によって投獄され死刑の通告を受けた英国女王陛下の全権商務総監及びその配下の者達に対する賠償金として六百万ドルを支払う事に同意する。
――南京条約・第四条
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あの日、
「全く、やってらんねえな……。」
問題事を報告してきた
教師になどなるべきではなかった。
これほど割に合わない仕事も
「こいつが無きゃ
「ああ、でもここで打っちまうのは
彼は少し思い留まろうとしたが、結局一袋自分で使用してしまった。既に理性で抑えられない程彼は薬物に依存してしまっていたのだ。
「しかし、
「どうせ
愚痴りつつも、彼には
ふと、彼は数年前に
「合宿所と言えば、あの近くには例の山道があったな……。そう言えば
☾☾
「あ、アンタは……⁉ 一体こんな所で何をしているんだ?」
彼が思わずそこに居た男に声を掛けたのも無理は無い。その男こそ、彼が今この様な状況に巻き込まれている原因そのものだったからだ。
「
そこに居たのは眼鏡を掛けた細面の同僚、
彼は
「これはこれは、
「何を言っているんだ……‼ 立ち入り禁止の場所に侵入しているのはアンタだって同じだろう! それに、アンタと連絡が付かないからって
「連絡が付かない……。それはそれは失礼致しました。ところで、連絡出来ないのは
「ど、どういう事だ……?」
「先日一人の生徒が
どうせ連絡が付かない、とされているんだ。ここで殺して埋めてしまうか?――そんな良からぬ考えが
しかし、
「
「うぅっ‼」
完全にばれている。自らの犯罪行為を、
しかし、
「大丈夫ですよ、
「なっ……⁉ アンタ、一体どこまで知っているんだ⁉」
実は
「ふふふ。今、
「ち、チャンス?」
「その証拠に、面白い物をお見せしましょう。」
しかし、そう思った瞬間に何も無かった
「う、うわアアアッッ‼」
「さあ、
☾☾☾
今、自身の城である国語準備室で
(この
(気に入らん……!)
否、それすらも最早定かではないかも知れない。
近頃の彼は、覚醒剤の禁断症状で
(それもこれも、元はと言うとこういう面倒な劣等生が煩わしくてあいつの言葉に乗ったのが始まりだったんじゃないか……!)
自分が覚醒剤を売り捌く副業を始めたのも、自身で濫用し始めたのも、全ては
しかし、
「先生、
「知らんな。」
「そして、向こうに居たあの二人に会った。」
「休日だろうが! どういう理屈で会えるっていうんだよ‼」
苛立ちから勢い余って口を吐いて出てしまった言葉に、
「向こうにだって
「それは……!」
それが可能だったのは、彼等二人に特別の事情が有ったからだ。
「し、しかしお前の言う二人に会える筈が無い、という事であればお前の主張は崩れるだろう?」
「会えた理由は調査済みですよ、先生。」
(そうさ、
そう高を括っていた
もし彼の考える通り、実体の無い物であれば
「確かに、最初に知り合った二人の
実は
「先生、お願いがあるんです。」
「あ⁉」
「先生、どうか
生徒として、
しかし、
「ふざけんじゃねえぞ
しかし、彼は尚も怯む様子を見せない。
「先生、駄目ですよこんなことしちゃ……。それに、
その時、
元々、彼は既に上手く理性が働かなくなっている。
(もういい、面倒だ。こいつの事もやってしまおう。どうせ元々、
身勝手な殺意から、
だが、
骨の軋む音が鳴り、
「ぎ、ギャアアアッッ‼」
「げほッ、げほっ‼」
とは言え
「先生、駄目ですよ……。」
「もう良いよ面倒臭い‼
しかし、彼にはもう一つ
それは、
「てめえ
大男、鼻に矯正を当てた
「ギャヒッ⁉」
「
「有難う、
「頼ってくれて嬉しいぜ、
そこには、南京錠で厳重に鎖された
「なっ⁉
「ああ、そんな汚れ役を
「
正規の開け方でない乱暴なやり方の前では南京錠も意味は無く、鞄の中からバラバラの紙幣、水入りのペットボトル、注射器、そして白い粉の入った袋が床に散らばり落ちた。
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