第十四話 不都合な推理
愛する者達よ。自ら復讐せず、
何故ならば「主は仰る。復讐するは我にあり。我自身が報復する。」と書いてあるからだ。
――新約聖書『ローマ人への手紙』第十二章十九節より。
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「保健室……。」
「目が覚めたか、良かった。」
保険医の
「良い友達を持ったな。」
「友達……。」
「先日君を保健室に連れてきた、目付きの悪い彼。倒れていた
そして、
「後で礼を言っておかないと……。」
「そうだね。それが良いだろう。だがまあ
「有難うございます……。」
「まあ、これに懲りたら元の大人しい少年に戻ると良い。どういう使命感か知らないが、
☾☾
休み時間とはいえ、午後の短い休憩時間にしては妙に教室がざわついている。
「
「
「一応、親に迎えに来て貰う事になったよ。多分、明日はちょっと休むと思う。」
「そうか、それが良いだろうな……。」
「有難う。
「良いさ、友達だろう。」
「何かあったのか?」
「そうだな……。
当然、
「
「
「中等部時代、
「事が事だからな。
「ああ……そうするよ……。」
どうやら教室が騒然としていたのは
すぐ後に、
帰りの車の中で、
☾☾☾
翌日は保険医の
両親からも部屋で一日安静にしている様よく言い聞かされた。
「
『何?』
昼間、両親は仕事で居ないので誰に
「学校に行かない事、怒っていますか?」
『まあ良いんじゃない? 一度今ある情報を整理しておきましょう。気になる事もあるしね。』
ここまでの捜査、二度の
『やはり変なのは、あの二人の死体ね。どうしてあの二人に関してはすぐに
「確かに、未だ行方不明の高等部
『まあ
「
『でも
「言われてみれば、あれだと凄惨な死体を見せ付けているとしか思えないですね。」
『そう。首を晒すのは普通、見せ付ける為よ。〝こいつらの様にこうなるぞ。〟そのメッセージこそ、あの生首の意味だと考えるのが自然よ。』
『その相手は恐らく、
「え?
『だってそうでしょう?
「成程……。でも外部の
「明日以降は……慎重に動いた方が良いですね。」
『そうね。それにもう
「どういう事ですか?」
『
「あ……‼」
流石に
「疑ってるんですか?
『別に彼等に限った事ではないわ。
『この一件、黒幕は
「もう一度、詳しい話を
『そうね。でも、相手も随分と間抜けな事をした物だわ。口封じに留めて死体を処分してしまえば、事は全て闇の中。
「確かに、今の段階では
『昨日迄は未だ
皆、
「でも、命を奪われ人としての尊厳を辱められる、そこまでの
『
それはそうなのだが、
『話を戻すけれども、問題は
「どういう形……積極的にあの二人を利用していたか、それとも受動的に何らかの理由で仕方無く……といった意味でしょうか?」
『ええ。前者なら
「まあ明日
現状では、余りにも情報が少な過ぎて推理には限界が在る。
しかし、一方でそうも言っていられない事情も有る。
『
「
『仕方無いと云う話よ。それはそうとして、痛手であるというのもまた事実。』
(一貫性の無い言葉に振り回される身にもなって欲しいよ……。)
不満はあったが、それを言った所でどうにかなる相手でないという事も承知していた。これまで散々皮肉をぶつけているが、一向に彼女の態度に変化は現れないからだ。
「そういえば
『何、
「覚醒剤の話ですけど、時系列はどうなっているんでしょう?
『どうって、そんなのタイムラグから決まって……。』
続きを言い淀み、
『覚醒剤は……当然
『
「どういう事ですか?」
『それを確認する為に、すぐあの二人の不良にメッセージを送りなさい。内容は……。』
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