第十二話 二つの祠
人を正気たらしめてきたのは、何あろう神秘主義である。神秘主義の功績、それは即ち人は理解し得ないものの力を借りることで、初めて
――ギルバート・キース・チェスタートン
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彼等が囲み見詰めているのは校舎裏にひっそりと建てられた小さな
「この
「昨日、
「はは、そうなんですか……。」
普通に学校で殴り合いの決闘を行おうとしていたと話す二人の不良に、
「しかしな、とんだ水が入った。」
「
「聞かれちゃ
「まあ、そうだな。」
「そういえば
「中等部で……四人……?」
「心当たり有るらしいな。」
「確かに……中等部から四人居なくなっている筈だ、という状況はあります。しかし、何故
「引っ掛かる言い方だな。どうやらそっちも訳有りっぽいと見た。」
「良いか、絶対言うなよ?」
「話を戻すが、
「その妙な物というのが……。」
「
「男が三人、女が一人だったな。」
やはり中等部
「その死体はどうしたんですか?」
「死体を見て、すぐに
「そこから先は記憶にねえ。気付いたら放課後だった。死体もその場から消えていて、変な夢を見たと思った。」
「だが、舎弟共に話を聴けば昨日、
「
(
(ひょっとすると、
彼は思い切って
「御二人はこの
「さあ?」
「入学した頃にはとっくに喧嘩の定番スポットだったからな。」
「そうですか……。」
少し期待外れの答えだったが、何も情報が無い訳ではない。彼等にとってこの
「
『
『まさか、あの事を他言するの? こんな奴等に? 正気?』
「御二人は
「御二人が見たという死体、
「それに、妙なのはそれだけじゃない。本当に消えてしまったんですよ。
「いや、それは別に普通だろう。」
「
「
「いや、別に
「確かに良い気分じゃねえから話したってのはその通りだがよ……。」
「もう授業が迫っているので
「何だ、
「ま、別に減るもんじゃねえから良いけどよ。
こうして、
そして帰る方法を二人に確認した所、往きと同じく
「じゃ、また何か有ったらいつでも連絡しろよ。」
「秘密を握り合ったからには五分の友達だからよ。」
「有難うございます。近い内にまた宜しくお願いしますね。」
☾☾☾
放課後、
しかし、二人は捕まらなかった。早速
仕方無く、その日は二人の追及を諦め、
『覚醒剤の件で
相変わらず
しかし、
「
「
『
彼女は根負けした様に溜息を吐くと、眉を上げて静かに問い直す。
『じゃあ答え合わせをしましょう。
「そうですね……。まず、
「そしてそれは、
『ええ、知っていたわ。それで?』
「
『そうね。』
「
窓に映る
『つまり、
「違いますか?」
『そうね、当たらずも遠からず、といった所かしら……。』
『
「
『それは
「どういう事ですか?」
『それだけの価値が有るの。〝
「それで、
『それは違うわ!』
再び
『役員の皆を巻き込んでしまったのは確かに
「敵……?」
雲の影が
『
「それが、『敵』ですか? 一体何者なんです?」
『気付かないかしら? 犠牲になった
「でも、
『そうよ。つまり、
しかし
「先輩方は戻って来ると言っているんですか? そして、彼等は
『彼等だけじゃないわ。もう一人居るでしょう? 消息不明になっている男が。』
「
『恐らく、近い内に敵対する事になるでしょうね。二つの〝
「それも『
『そうよ。彼等の力こそは正に〝闇の力〟。間違い無くそれを手に入れているでしょうから……。』
『まあ、それは少し先の事になるでしょう。今は引き続き、覚醒剤の件を調べなさい。
「ええ、そうします。その方が
気が付けば、
この日の調査は
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