第十話 朝令暮改
最大の幸福とは、不幸の元を知る事である。
――フョードル・ミハイロヴィッチ・ドストエフスキー
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保険医からは勝手に抜け出した挙句怪我をして戻って来た事で雷を落とされたが、
驚かれたのは、危険な行為に反して怪我が非常に少なかった事だ。何針も縫う傷を多数負い、命に関わってもおかしくない行為だと厳しく責められたが、
そして、異常事態が起こった日で
珍しく早い時間帯の復路バスに乗り、
『何を気取った様に
窓に
「そりゃこれからの事を考えると物思いに
『そうかしら?
「他人に大怪我必至の暴挙に出させておいてよく平気でいられますね
『昨日から思っていたけれど、随分とまあ生意気になった物ね。一体誰の
「それが危ういからにはもう今までの扱いと併せて帳消しでしょう。」
『
「そう……ですか……。」
少しだけ後ろ暗さを覚えた。今まで彼女に苦しめられたのは事実だが、自らの無能に
そう、
「でも
『その割には
「それは……。」
(それに、元々叶わない想い。今となっては尚の事……。)
「
『……でしょうね。』
「
バスは駅の停留所に向けて南下していく。
☾☾☾
帰宅した
「酷い一日だった……。『
『同感ね。でも、
「どういう事ですか?」
白い
『何から手を付けて良いか分からない時は、まず目の前の課題を片付けるのよ。』
「目の前の課題?」
『取り敢えず、卑近な疑問点があるでしょう。』
『教室には全て机でバリケードを張った。にも拘らず、
「
『そう見て間違い無いでしょうね。』
「その通り道を見付けるっていうのが、目の前の課題ですか? でもどうやって?
『それに関しては何も心配無いでしょう? だって、
「まさかとは思いますが、
『まあ、そうね。でも、彼等に舐められたままで良いの?』
「
『そうよ。でも、彼等も彼等で酷い目に遭っているでしょう。元
「
とはいえ、確かに
「じゃあ、明日はその方向性で腹を括って行きますか。」
『今夜こそはよく眠っておきなさいね。』
「はいはい。」
こうして、
☾☾☾
翌日、朝起きた
「
教室に入って一番、親友の
「取り敢えず、崩された様子は無いな。」
「どうやら他に抜け道が在る様だからな。
「その事なんだけどさ、
「
席に着いた
「心当たりが一つ有る。」
「え、何だ?」
「昨日、文学部の部室から見ていたのだがな、どうも
合宿所、その単語が
『良い友達を持ったわね、
しかし、それを吹き飛ばす事件の情報が駆け込んで来た。
「ねえ、
話し掛けてきたのはクラスメートの女子の一人、
「何か面白い話でも仕入れたのかね、
「
「この状況より面白いネタかね、それは?」
「そこまでは
勿体付ける
「有名人のスキャンダルには興味無いよ、
誰かを貶める悪い噂は懲り懲りだった。それが
「まあ、強いて言うならもう居ない人間の話題だから良いか。」
「何が良いんだよ?」
「いや、聴いておくれよ。結論から言うとだね、今この
「は⁉」
「情報源は何処だ?」
「それは言えないね。
『由々しき事態ね……。』
『
「ええ⁉」
「
『
「……
『
「
『それは簡単よ。
身も蓋も無い
「解りましたよ。じゃあどうします? まず
『そうね。現状手掛かりは彼女だけだから。』
しかし、一見無関係な「
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