第七話 呉越同舟
人類が今現在の姿をしているのは偶然である。
それは単に生命体誕生以来の地球環境の度重なる変化が現在の我々へと進化を促進したに過ぎない。
故に、
我々は無数の可能性の枝の、そのたった一本に過ぎないのだ。
では
人類と、全く別の環境で進化した生命体が出会った時、それは果たして幸福な結果となるであろうか。
生きてきた環境が違えば育まれた価値観も全く違う。
我々人類の間ですらそうなのだ。
互いが互いにとって唾棄すべき存在である事も充分考えられる。
そう思い巡らせた時、
――考古学者・タージ=ハイド
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交通の便が悪い山中という立地の私立
一つは、幾つかの駅と
「行って来ます。」
「行ってらっしゃい。真面目に授業受けなさいよ?」
「ぐ……。」
自宅の玄関を出た
『どうやらもう親御さんには
「ええ、ええ。
『あらこれは心外ね。
「滅相も御座いませんよ。」
最寄り駅迄の道を行く
『随分とまあ生意気な物ね。折角だから御一緒しましょうか?』
『それで、昨日は殆ど眠れなかった様だけれど、困るのよね。脳は共有しているのだから、余り疲労を蓄積させられると
「すみません……。」
本来の精神力なら、
だが、そんな反論が出ないのは、今まで
朝の光が透けて生前以上に白く輝いて見える
嗚呼、自分はこの人に、根本的に負けているんだ。――
彼にとって不幸なのは、そんな相手とこれから二十四時間常に共に居なければならない事だ。
元々、
でなければ、悲しみと恐怖と無力感で
『それにしても、
そんな
『
☾☾☾
いつもどおり、
一限目:八時四十分~九時二十五分
(休憩五分)
朝HR:九時三十分~九時四十五分
(休憩五分)
二限目:九時五十分~十時三十五分
(休憩十分)
三限目:十時四十五分~十一時三十分
(休憩十五分)
四限目:十一時四十五分~十二時三十分
(休憩六十分)
五限目:十三時三十分~十四時十五分
(休憩十分)
六限目:十四時二十五分~十五時十分
(休憩五分)
夕HR:十五時十五分~十五時三十分
(休憩五分)
七限目:十五時三十五分~十六時二十分 (課程終了)
課外活動:十六時三十分~十八時三十分 (原則最長時限)
食堂・購買部:十時三十分~十四時三十分 (昼)・十六時~十九時三十分 (夕)
始発バス:七時五十分
最終バス:二十一時
尚、水曜日の七限は
そういう訳で、乗り物酔いし易い
『
流石に姿を引っ込めている
『あ、
☾☾☾
生前の
つまり、バスの中で一眠りを終えて
「
『ええ、無いわ。それに、あれは
『あれは
「え?
『当然じゃない。でなければ、
今から半月前、新学期が始まった
『言っておくけれど、
「で、でも
『向こうの生徒の質なんて知った事ではないわ。類は友を呼ぶというじゃない?』
「じ、自分達の家族で転校先を決めたりなんてのは……?」
『我が校で退学に値する問題を起こした生徒を受け入れる学校に
「でも中学校は義務教育課程……。」
『そんな事より、早く教室に行った方が良いわよ。今のところ
そういえば、未だ
休み明けの初日なのだから何事も無いかの如く一日が始まるのは不思議ではないが、それにしてもこの空気の変わらなさは、
(だとしたら、何故……?
校舎の入口に立ち止まった
どうせ明日には、
(守るったって、その「闇」が何なのか見当も付かないし、何をすれば良いかも判らないし、第一
☾☾
教室に入り、一限の授業を受け、ホームルームを終え、二限の授業中の事だった。
「悪い。」
「休めなかったらしいな。」
いや、
死体が発見されていないにせよ、
しかしまるで、何事も起きていないかの如く日常が流れている。
(
「何だ、授業中だぞ?」
「いや、
「
「は? いや、
「何を言っているんだ
まるで
『どうやら
『
だが、徐々に雲行きは妖しくなってきていた。それは雰囲気の話ではなく、文字通り教室の外、窓から見える空が曇り始めたという意味だ。しかし、どうやら普通の曇り空ではなく、異常な黒さで空を染め始めている。
「おい、何か変じゃないか?」
「これじゃまるで夜……。」
生徒が景色の変化に戸惑い、ざわつき始めた。他の生徒は横目に外を見る程度だが、
「紫の闇……?」
「な、何だ⁉」
「誰か電気
突然視界を奪われた生徒達が困惑から音を立てて動き出した。
しかし、それにしても
「何じゃいきなり⁉ 誰だ電気消したボケは‼」
「てめえ足踏んでんじゃねえよ!
『成程、これは確かに〝
そして電気が点けられると、
「あの……
「ああん⁉」
『
「明らかに……二つ分ある……! ていうか、別々の教室が繋がった感じだ……!」
そう、教室の広さは
『どうやら今朝見た寮はこの兆候だった様ね。そして今、
想像を絶する事態と、柄の悪そうな
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