第四話 惨劇の夜
Fair is foul, and foul is fair. (奇麗は汚い、汚いは奇麗。)
――ウィリアム・シェークスピア『マクベス』より。
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午後八時五十分、闇と共に不気味な雰囲気を纏う立ち入り禁止の看板を前に、少女は
――殺す、殺す。今夜終わりにする。あの
――その時、
少女の、
口角を上げ、
☾☾☾
薄暗い
待っていた、と書けば楽しみにしている様に思えるが、彼の胸中は決してその様な心持ち
一方で、夜の小道で二人きりという状況に何の期待も無いかと言えば、全くそうという訳ではない。
(全く、嫌になっちゃうよな……。どうして
少なくとも、
だがそれもこの後彼女に会うことでまた裏切られるだろう。
「約束の時間の十分前には到着する事。十分前行動というのはそういう事だけれど、
「す、すみません……。」
「それに、何なのその格好は?
理不尽な物言いに、
「すみません……。」
「まあ良いわ。その汚れの分、身を挺して
何処までも身勝手な彼女の言い分を
「御返事は? 質問には答えなさい。」
「はい……。すみません……。」
三度の謝罪を余儀無くされた
☾☾
「お疲れ様です、
「彼か?」
「はい。」
「本当にやるつもりか?」
「勿論です、先生。この機を逃せば永遠にチャンスはやって来ない……。」
「あの、
「良い、
「後でって、今じゃ駄目なんですか?」
「駄目よ。気付かれては元も子も無い。はっきり言ってこうして会話しているだけでも危険だわ。」
二人の問答を余所に、
「
「悪いがそれは
「何か起こる……んですか……?」
まるで、大きな蜘蛛の様だ……。――
「な、何ですか? この光は一体……。」
「今、異界の門は開かれた。
「儀式……?」
困惑する
「一つは二つに!」
次の瞬間、
「ひ、ヒイィッ⁉
「二つは一つに‼」
「う、うわああああ‼」
「待て、
「い、いぎいいッッ‼」
まだほんの一部、ほんの少しの侵入を許しただけだ。
しかし、全て入ってくる前に逃げなければ、取り返しの付かない事になる。――
「待て、待ってくれ
「何の……儀式ですか……‼
激痛に苛まれる
とその時、
(一体何が……?)
そしてどうやら
「
この夜の彼の記憶は、
☾☾☾
朝の光が差している。
今彼に判っていることは、どうやら自分が
そして何やら爽やかな朝の匂いとはかけ離れた嫌な臭いが漂っている事だ。それは
目の前に横たわっているのは中等部の
(一体何がどうなっているんだ……? 昨日の夜、あれから
そんなことに頭を巡らせていると、不意に嫌な予感が脳裏を走り抜けた。
「ああ……あ……‼」
生気の全く無い、完璧な美少女の肖像がその肢体の隆線を堂々と誇示するかの様に、十字に浮かんで揺れている。
まるで大昔の聖人の様に、何とも見事な肉体の美を見せ付ける様に。
爪先まですらりと伸びた細く長い脚線が、小さく程よい肉付きで確りと存在感を誇示する秘部と
嗚呼、死んでいる……。
しかし、その時彼の頭に何者かの声が響いた。
『今すぐその場を離れなさい。第一合宿所に戻るのよ。』
「何……だ……⁉ 一体誰が……‼」
『
それは散々聞かされた、あの傲慢な
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