第二話 私立華藏學園
Gaudeamus igitur, juvenes dum sumus, post jucundam juventutem, post molestan senectutem, nos habebit humus. (愉快に過ごそう、我等の青春を。朗らかなる若き日の後に煩わしき老いを経て、我等皆
(中略)
Vivat academia, vivant professors, vivat membrum quodlibet, vivant membra quaelibet, Semper sint in flore! (アカデミア万歳、教授達万歳、全学友万歳、全学生達万歳、常に咲き誇り給え!)
――学生歌『ガウデアムス (Gaudeamus)』より。
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碁盤目状の街を川沿いに北上し、山岳地帯に入るバスは十代の若人達や彼等を指導する教員達を乗せて走っていく。彼等がそれぞれの青春と朱夏を過ごす学び舎まで、乗車時間は駅から約四十分。その施設は市街地から離れた木立の奥、立地条件とは似つかわしくない真新しい白亜の校舎と広々とした運動場や体育館、ホール状の会館、食堂や図書館が入る厚生棟、更には寮まで兼ね備えた威風堂々とした姿で
私立
創立者は
春
学校指定の鞄を一際大事そうに抱えてふらつきながら歩く、中性的な顔立ちをした痩せた少年の名は
そして特筆すべきは、新二年生で唯一の
つまり彼は、
しかしそれは遠巻きに見ている者が想像で憧れ、羨んでいるに過ぎない。明らかに寝不足と言った
そんな
彼の予想通り、歓声の中心で注目の的となっている高等部三年生の
「おはようございます、
「おはよう、
「おはようございます!」
「おはよう。
その見目麗しさも
だが
「おはようございます、
「おはよう、
この日、放課後に開かれる
(大丈夫だ、今回は……。徹夜して内容を練り上げたんだから、
授業が始まると、
☾☾
教室、
戻ってきた
「大丈夫か?」
「そう見えるか、
ぐったりと机に突っ伏し、尚も元気の無い
「
「
「それは……
勿論、その言葉通りならば
「ノーコメントで……。」
「成程な……。」
「一応
「制度上はね。でも、あの女の下を離れるなんて出来るわけないよ……。」
「……つまり本音では?」
「辞められるものなら辞めたい。軽い気持ちで立候補したのが間違いだった。」
「まあ、あと半年どうにか耐えろ、としか言えんな。
「それまで見限られなきゃいいけどね……。」
「……今の
「みんなその権力を正しく使っていると思っている、その信用があるから野放しにされているんだよね……。」
「何やってんの?」
「いや、
「親友の不幸を作品のネタにするのかよ……。」
「創作者にはそういう者が結構居るものだぞ? 家が火事になって家族が焼死しても、揺らめく焔の実物が見られたと歓喜する画家とかな。」
「それは創作者の中でも人格に問題があるといわれる類の人種じゃないか?」
「
「自分で言うな。後、
その時
「成程、尚も彼女への心は変わらず、という事か……。
彼が
「当たり前だろう。
「確かにな。当時の
「ま、お前がそういう奴だって知ってるから別に良いけどな。今更だし。」
実は今、
「あの
しかし、
(だけど今回は大丈夫だ。この企画書は一年生の頃から生徒達に入念に聴き込んだ上に今までの失敗から指摘された点を改善すべく検討に検討を重ねた。しかも内容がちゃんと伝わるように昨日徹夜で最後の推敲を重ねたんだから。これで少しは
☾☾
放課後、
高等部三名の企画書に目を通し終えた
「
「は、はい?」
「
「まるでお話にならないわね。
「か、
「
理不尽な彼女の仕打ちに、
「それと、
「何か答えたらどうなの。
「あの場所……⁉ ま、まさか本当にそんなことが……⁉」
「おっと、これは公式の話ではなかったわね。つい口を滑らせてしまったわ。でも、噂は
その
怯える
「でも、それも一興ではないかしら?
「ま、とりあえず余り
☾
しかし、この合宿で一つ大きな事件が起こる。
連休中、
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