第3話 あきの生い立ち2
20歳頃になると、恋愛して結婚して子供産んで幸せになると夢を見ていた。
誰しもがその道を歩むと思っていたから。成田離婚なんてドラマの世界だと思っていた。
私には平凡でも夫と子供と笑って過ごす日々が来るのだろうと想像もしていて、
その頃彼氏にプロポーズもされて、夢が叶う一歩手前で順風満帆に過ごしていた。
そう、
その日が来るまでは。
半同棲状態だった私たち。彼が山形の実家に帰ると言うことで、
休みの日に久々に1人で部屋の片付けをしてのんびり過ごしていた。
彼が帰ってくるのは明日、今日は1人だし食べに行こうかな〜とか考えていると、
携帯電話が鳴った。まだ今のようにスマホではなく折り畳む前のガラケーやポケベルの時代だ。
プルルル〜
彼からの電話だとわかり急いで出る。
あき「はいはーい、どうした?」
すると、受話器の先には聞き覚えのある女性の声がした。
その声は高校の友達のえりこだ。
瞬時に状況は把握できたが、頭が真っ白になった。
(え?なんで一緒にいるの?)
(可笑しくない?え?え?)
と頭の中でぐるぐるしていると、えりこが話し始めた。
えりこ「あき、久しぶりー、
今さ、どこにると思う?」
えりこ「実はさ、彼と一緒に山形来ていてるんだよねー」
えりこ「前々からあきの相談受けててさ、それで何回か会ううちに・・・
ってね♡それでさー明日帰るところなの。
その家さもうあんたの住むところじゃないから明日までに出てって」
あき「・・・・・」
あき「わかった」
えりこ「よろしくー」
悲しみ、怒りを通り越した無の感情。
言葉に詰まりわかった以外何も返せなかった。
なぜ、彼の横に友達がいるのか。
私たちは結婚の約束をしたのではないか。
明日帰ってきて一緒にご飯を食べるのではないか。
高校から仲良く遊んでた友達ではなかったのか。
色々なことが頭をぐるぐるしたが、
この時でさえ何も言わない彼にガックリし、
引き止める勇気もなく電話を切ってしまった。
けどそんな彼でもその時は辛くて、
嗚咽が出るほど苦しかった。
泣いたのかな、その記憶さえ薄れている。
今だと自分で別れも言えなく、浮気を平然としている男なんてと思えるが、
当時は彼しか私の人生にはいないと思っていたから、
それからは死んでも可笑しくないぐらい気が狂ってしまった。
縋ったり抵抗する力もなく、友達に電話して出て行く支度を手伝ってもらい、
放心状態のままとりあえず他にアパートを借りた。
何となく実家には帰りたくなかった。
その後2人がどうなったかは知らない。
もう私には関係のないことだ。
20年経った最近まで山形県を毛嫌いし、
その言葉を聞くとトラウマのように苦しみが溢れてきた。
けどここ2、3年やっとそれを乗り越えれた。
山形県アレルギーがなくなりました。
何でかなー
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