2話 わたしを生かした事を後悔させてやる。

「う、うわぁあああああああああああ」と、バディは目を覚ましてしまった。

呼び出せばオリハルコンの短刀、ペルセウスの靴はちゃんと戻って来る。

心臓は???


音がしていない。


え?


つぶされたのは夢じゃない。


「わたしを生かした事を後悔させてやる!」


わたしは声の限り、叫んだ。ベッドの上で。


ベッドから降りて、ペルセウスの靴を履く。

ここは一体どこ何だろう?

そして…わたしはどうやって動いている?


どうやって動いている?


心臓は止まったままなんだ。


どうやって?


死霊術に肉体創造という奥義はあるけれど、それをやったとしても心臓は動くよね。そうだよね。


というか、私の身体、肉体あるよね。

ネクロマンサーとしてすでに?あの姿と若さで?最高位だと言うの。

だから司教の法衣を着ているのかしら。

そこまで考えて身体が震え出す。

「わ、わぁああああああああああああああああ」


気合でもいれなきゃやってられない。いやだ、いやだ、いやだーーーー。

「わ、わたしを生かした事を後悔させてやる!」

「あらぁ、リティア嬉しい。起きてくれたのね。どうやって後悔させるのぉ。」

長い黒髪に赤い目、紫の司教の法衣。背中には黒い禍々しいオーラが見えている。

「お、おああああああああああ」と、わたしは走った。

先手必勝よ。

32連撃はどれも当たらない。半歩。たった半歩ずつ、前進してくる大悪魔。

本当に人間だったのか、それとも生まれながら大悪魔なのか。

それも分からない。


誤差は1ミリ。ほんと紙一重でかわしている。笑顔で鼻歌を歌いながら。


ああ、また心臓を

「供給停止…」と、リティアの声を耳元で聞く。

「あ、あぉ。あぁぁあああああ」私の身体は崩れていく。

いともあっさりと。崩れていく。


「理解できたぁ。魔力の供給を止めるだけでいいのぉ。わかるぅ。ほらぁ、もっと考えてリティアを後悔させないと、ほんとに壊しちゃうよぉ」

「うがぁああああああ」と、私は残った顔でリティアに噛みつきに行く。

「供給開始。いいわぁ。その感情。もらうわね」と、リティアの腕が心臓部を貫く。



「ほらぁ。まだ心臓部を壊されただけよぉ。ほらほら、早くぅ。」

「がぁああああ」と、崩れていて、元に戻った手と腕で、リティアの顔を殴ろうとする。しかし、空振りに終わる。それでも、何度も何度も繰り返す。涙で前が見えなくなっても繰り返す。


下から大きな気配を感じる。


私は闇に飲まれた。黒い蜘蛛?それとも黒い狼?もしかして両方?


「両方よ」と、リティアの声が脳裏に響く。

「おいしかったわぁ。あなたを人形(ドール)にして大正解。またいい声で鳴いてねぇ」

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