お取り込み中ですか?

「ところで女を探してるのはあんたらだけかい?」


 俺が聞くと


「いや〜、俺っちの兄貴が馬でその辺走って探してるはずさ〜」


「まぁ、見つかんなきゃあ、北へ歩いてっても追っかけ合流はするだろうよ」


 息の合ったコンビ芸で二人が答える。まったく羨ましいぜ。


「ありがとよ。じゃあまたな」


 俺は煙草を踏み消すと、また東に向かって歩き始めた。

 二人組もそれぞれ別れの文句を言うと北へ向かって歩いていった。


 やがてその姿が見えなくなったことを確かめると、俺はまた西に向かって風のように走り出した。


 クソ! 据え膳喰わぬは恥とは良く言ったもんだぜ! こん畜生が!


 頭の中は相変わらず文句タラタラだったが、なぜか俺の口元はニヤついていた。


 ◇◇◇


 オアシスに戻ってくると馬が佇んでいるのが見えた。さらに近づくと髭面のガタいのいい男がちょうどミランダを泉から引っ張り出して、まさに今お取り込み中になりそうなところだった。


「離しなさいよ! あんたなんか願い下げよ!」


「大人しくしろ! ただ捕まえようと思ってたが、こんなご馳走前にして手をつけねぇ馬鹿がいるか! 黙って言うこと聞きやがれ!」


「いたわよ! ついさっき! ぶら下げてんのが玩具オモチャなら、あんな奴ハジキよりおハジキの方がよっぽどお似合いだって言うのよ!」


「だ〜‼︎ お前ら二人して誰のことディスってやがる!」


「「……!!!」」


 大声で怒鳴ると二人は同時に俺の存在に気がついた。

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