踊り子さんには手を触れないで
「その女はお尋ね者さ〜。傷害罪でな〜」
背の高いひょろっとした方の男がまず喋った。
「何でも店のオーナーの息子に金的喰らわせて、その拍子に家具とか全部、派手にぶち壊しちまったらしい」
背の低い小太りの男が付け足した。
「何だってそんなことしたんだ?」
「そこのオーナーの息子ってのが手が早くてな。店の女にすぐに手を出す悪いクセがあったそうだ。父親が甘やかしてたらしいな」
小太りの男が鼻の頭に汗をかきながら答えた。
「それで手篭めにされそうになったってことか」
「何でもその店でポールダンスをする踊り子だったらしいぜ〜。最近入ったばっかりだったみたいだけどな〜」
なるほど。スタイル抜群で肌を見せることにあんまり抵抗がなかったわけだ。
「それならいっそ抱かれちまえば良かっただろう? どうせその辺のアバズレだろうに」
俺は皮肉っぽく煙と共に毒を吐いた。
「いや〜。それが身持ちは結構固い女だったらしいぜ〜」
背の高い男の方が意外なことを言った。
「本当か? それ?」
「そんなに長く居たわけじゃねぇから、あんまり詳しいことまで分かんねぇけどよ。昔助けてくれた男のことをずっと覚えてるとかなんとか言ってたらしいぜ」
小太りの男がグイっと汗を拭きながら言った。このオッさん汗っかきなんだろうか?
―― しかしだったら何だってそんな……俺はますます混乱した。
あれ? ひょっとして俺、とんでもなく勿体ないことしちゃった?
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