荒野で昼食を
だが、その笑顔が一瞬にして凍りついた。
俺が胸元からナイフを取り出したからだ。
『動くな』
アイコンタクトでそれを伝えると俺は間髪入れずナイフを投げつける。
シュッ!
鋭い風切り音を残してナイフがミランダの足元に突き刺さった。
そのナイフの先には一匹のサソリが仕留められていた。
「大丈夫か? 刺されていないだろうな?」
俺が声をかけると呆気に取られていたミランダはハッと我に返り
「や、やるわね! ま、まぁ、わたしが見込んだ用心棒なんだし、これくらいは当たり前よね!」
腕組みしてドヤ顔で決められた。ヤレヤレ、いつ俺が引き受けるなんて言ったよ?
「とりあえず良い食材が手に入った。もうじき昼だし飯にしよう」
そう言うと俺はナイフをサソリごと引き抜きミランダの方へ向けた。
「えっ……? 食べるのそれ?」
◇◇◇
「こんな美味いのに本当に要らないのか?」
歯の隙間からサソリの足をシーハーさせながら勧めてみるがミランダは半泣きで首をブンブン横に振るだけだった。
「食わなきゃもたねぇぞ。そんな水も食料も無しじゃ、この先のたれ死にするのがオチだ。今ならまだ引き返せる。もう戻ったほうがいい」
「余計なお世話よ! いまダイエット中なのよ!」
シャツの裾を前で結んだその下、形のいいおヘソの覗いたキュッと締まったウエストはまったくその必要があると思えない。
「着痩せするのよ」
視線で察したミランダがジト目で睨みながら言った。
そんな肌色成分多めの格好で言われても説得力ねぇよ。
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