早撃ちはお得意?

「で? そのミランダさんは、何だって興味のない俺に付いてこいと仰ったんですかね?」


 俺は少し嫌味っぽく尋ねた。


「興味があったのはあんたがそこにぶら下げているモノよ」


 ミランダが視線を下にやったので俺は思わず前を押さえた。


「ちっがうわよ! あんたのその腰にぶら下げてる奴のこ・と・よ!」


 ミランダがはっきりそれとわかるように人差し指で俺の腰にぶら下がっている拳銃を指差した。


「俺のコルトに何かご用でも?」


 まったく。ジョークのわからない女だぜ。


「丸腰の女が一人旅なんて危険でしょ? あんた、私の用心棒にしてあげるわ」


 有難く思いなさいよと言わんばかりに肩にかかったブロンドを払うと、その感触を知りたくなるような流れる髪に思わず呼吸を奪われそうになる。


「今どきSAA (シングル・アクション・アーミー)なんて珍しいじゃない? ちなみにそっちに仕込んでるのはデリンジャーかしら?」


 今度は間違いなく俺のに視線を落としてミランダが言った。


 な、なにおぅ⁉︎ 誰が小型銃の単発式じゃい! 俺の44フォーティーフォーマグナムが火を噴くぞ!


「……”リ”は余計だろ」


 だが臆することもなくガン見されてしまうと、それだけ言い返すのが精一杯だった。


 ミランダは何がツボにハマったのかケラケラ笑い出すと


「早撃ちは得意そうで良かったわ」


 そう言って目尻の涙を拭った。


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