第13話 作戦は素早く安全に!

 「ウッディ・フォレス・ユクドラ!」

ナノハちゃんの魔法で森の木がゆっくり曲がっていき、オバケキノコの前をふさぐ形になったわ。これで村に進まないように出来るわ!

 「ウッディ・フォレス・ノキサス!」

グレイがツタを太く伸ばしてオバケキノコの足にからみつかせるワナを作ったわ。

 「こっちだこっちー!」

ホウキに乗ってゼンが空を飛びながらオバケキノコの気を引いて誘導するの。ぶつからないか見ていてハラハラしちゃうけど、ゼンなら大丈夫そうね。

 私はホウキに乗って少し離れた所で様子を見るの。オバケキノコが倒れたらキノコの足を切って進まないように出来るわ。

 「先生が戻ってくるまで少しでも時間をかせごう。でも、できたら倒したいよな」

ってゼンが言っていたわ。

 「大丈夫だろうか…」

「ご主人さまが早く戻ってくるのをいのった方が良いのかもしれないにゃ~」

家の中ではさっきのおじさんとコクが様子を見ていたわ。何も手が出せないからその方が安全なんですって。


 「来たわ!」

ナノハちゃんが進路を木でふさいだからまっすぐは行けない…はず…、

バキバキバキバキ…

「…折っていったー!」

オバケキノコは全体重(?)を乗っけていって、曲げた木を折っていったわ…。

 「ツタよ巻き付けろー!」

シュルルッ!

ツタがオバケキノコに巻き付いていって押さえ込んだ…はず…。

ブチブチブチッ!

ツタを根元から引っこ抜いていって、引きちぎりながらどんどん進んでいったわ…。

 「…マジかー!!」

さすがのゼンもこれにはビックリしていたわ。

私もビックリしたけど。

 「じゃあ私の魔法で!」

「待て! あのまま切っていっても周りしか切れないかもしれねえぞ!」

ゼンにそう言われたんだけど…。

 「じゃあ他に方法があるの?!」

そう言いながら、狙いをきめて、

「シール・ヒュー・カット!」

私はオバケキノコに風の魔法をぶつけたんだけど…、

「切れて…ない?!」

オバケキノコの表面をうっっすらと切っただけだったわ…。

 「あの作戦もこの作戦もダメ…」

さすがに皆でへこんでいると、

「なに落ち込んでんだよ! なんとか足止めしないと村が大変だろ!?」

ゼンが皆を励ましたの。

「そうね、ここで落ち込んでもしょうがないもんね!」

 とにかく時間かせぎしなきゃないから、木を魔法で曲げたり、ツタを伸ばして前をふさいだり、木を切って重ねてバリケードにしたりしたわ。でも…、

 「ぜぇ、ぜぇ、もう、ムリ~」

「ボクも…もう、ダメ」

ナノハちゃんもグレイくんも力を使いきっちゃったみたいで座りこんじゃった。

 そういう私もヘトヘトになっていたわ。

「なか、なか倒れない…わね」

「そうだ、な」

少し離れた安全な場所に皆で集まったの。

もう、どうしたらいいか分からなくなったその時!

 「シール・ヒュー・カット!」

ホウキに乗ったアサギ先生が駆けつけてきて、風の魔法でオバケキノコの足を切ってくれたわ!

「「「…助かった~!」」」

皆、ホッとした表情になったわ。先生が間に合ってくれて良かったー!!

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