第10話 実りの秋、キノコの秋…!?

 「みなさんにお知らせがあります」

秋になったある日、アサギ先生が授業の前にこう言ったの。

 「先生は明日、王都に行かなければならない用事があります。それで明日は」

「自習ですか!?」

「…自習ではありません。校長先生に授業を教えていただきます」

 えーっ!? せっかく勉強しなくてもいいと思っていたのに、とか色々言っているのが聞こえていたわ。

わたしも勉強はそこまで好きではないけれど、先生の授業は面白いと思っていたから、ないのは残念だと思ったわ。

 「明日は校長先生の言うことをちゃんと聞くんですよ。

では、今日の授業を始めます」

 そうしてその日は普通に授業を受けたの。


 「そういや今月キノコ祭りがあるな」

 アサギ先生が王都に出張に行く日。校長先生が教室に来る前にゼンが話し始めたの。

「キノコ祭り?」

「そう! 

要は収穫祭なんだけど、この時期だけしか採れないキノコがあるんで、この辺だけはキノコ祭りって言ってるんだ」

「焼いても煮ても旨いんだぞ!」

「ジアちゃん、キノコ好き?」

 キノコはすごく好きではないけれど、皆の盛り上がりから、楽しそうな感じがよく分かるわ。

「食べられるけど…それはともかく楽しそうなお祭りね」

「その日は夜遅くまで起きていても怒られないのよ!」

「俺はすぐ眠っちゃうけどな」

「ゼンお子ちゃま~」

「うるせー」

 とかお話していたら校長先生がやって来て授業が始まったわ。


 「やあーっと着いたわねえ」

「長旅ご苦労様です」

王都に着いたアサギ先生。乗り合い馬車の到着場でワイトが出迎えてくれた。

 「さすがにここまでホウキで来るのは目立つから馬車にしたけど、腰とか痛くなるのよねえ」

「腰痛? 年じゃね?」

「ラック、うるさい」

ワイトと共にラックも待っていたらしい。

「まあまあ久しぶりの再会だし、同い年なんだから」

「「10コ上のあなたが言うな」」

息の合ったツッコミ。仲が良いのか悪いのか。

 「さっさと用事を済ませないと。もうすぐキノコ祭りだから、いつアレがやって来るか分からないからねえ」

「ですね。ではこちらの庁舎へ」

「ハイハイ」

 3人は魔法使い登録庁舎へ向かっていった。


 「ねえ、あの土埃つちぼこりは何?」

ふと外を見たジア。

「えっ?! あれは…」

外を確認したゼン。すぐさま大声で、

「皆ー! オバケキノコが来たぞー!!」

オバケ…キノコ?!

「あー、季節だねえ」

「いつもより早いね」

「今年はどのくらいの大きさかなあ」

 皆のんきにしているけれど、オバケキノコって、あのオバケキノコよねえ…。

「って、あの胞子ばらまいてあちこちキノコだらけにするオバケキノコ?!」

「焼くと美味しいんだよねえ」

「スープにしてもいいよねえ」

…皆食べる気満々だわ。まさか、

「キノコ祭りって」

「アレを捕まえて料理する祭りなんだよ」

…聞くんじゃなかったわ。

 「アサギ先生がいるとすぐに捕まえられるから」

って…、

「アサギ先生出張じゃないの!!」

「「…あー!!」」


 無事にキノコ祭りは行われるのでしょうか…。


 

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