第9話 夏休みの宿題と仮免許
「うーん、うーん…」
ノートを前にうなる私達。目の前にはたくさんの宿題。
夏休みももう少しで終わりなんだけど、修行したり遊んだり遊んだり…。
気がついたら手をつけていない宿題がたくさんあって、ゼン達も、
『まだ終わらない』
って言っていたんで、
『じゃあ皆で一緒にやろう! そして教えあおう!』
と、なって、この状態。
「ここ、分かる?」
「これはこうして…」
「ダメだ、わっかんねー!」
暑いからよけいに頭が煮えそう!
「休憩にしましょ」
「「「さんせーい」」」
もらった果物でジュースを作ってもらって皆で休憩。息抜きも大事だって、先生も言っていたもの!
「そうにゃ。それでだにゃ~」
「おふぁよう、コク…水晶で誰と通信しているの?」
夏休み中のアサギ先生。何も用事がないのでゆっくり眠っていたようです。
「おはようございますだにゃ…もうすぐお昼ですけどにゃ」
「ん~、ゆっくり眠っていてもいいじゃない」
「あ、王都のワイトさんから通信だにゃ」
「…ワイ、トですって!?」
『…なんてだらしない格好してるんですか!!
早くちゃんとした服に着替えてください!』
水晶から男性の声がした。どうやら通信相手のようだが、音声だけではなく、姿も映せるようで、起きがけのアサギ先生が丸見えのようだ。
「ごめん!
『ワイトー、お昼食べに…誰と話しているんだ?』
『わー! ラック! 見るな見るな! 後で誰か教えるから!』
向こうではアサギ先生の姿を見せまいと慌てて水晶を隠している様子が聞こえた。
~10分後~
「お待たせー」
「…何でドレス姿なんですか? それに前にも言いましたけど、普段から身なりはちゃんとしてくださいと」
「あー、ハイハイ。それで、ワイトの用件は?」
ワイトと呼ばれた白髪の男性と知り合いらしいアサギ先生。
いつもの敬語ではなく、少しくだけた口調になっている。
「今年の仮免許検定ですが、候補者はいますか?」
「春に親の仕事の都合でこっちに転校してきた子が、今時珍しく魔女になりたいんだそうよ」
「それは…」
「おっ! アサギじゃん! 久しぶり!」
先程の黒髪の男性がやって来たようで、水晶の映像に姿が映った。アサギ先生とは旧知の仲らしく、親しげに話してくる。
「ラック、相変わらずのようね」
「アサギだって、変わんねーようだな。普段だらしないのとか」
見られてたのか、とアサギ先生は思ったがそこはスルーした。
「…まあ、それはともかく、仮免許検定はいつ頃行われますか?」
「そうですねえ…」
ワイトは少し思考した後、
「では、キノコ収穫祭の月はいかがでしょうか。いつも通り魔法、ホウキでの飛行での試験ということで」
「分かりました」
「じゃあ、その月の1日に王都まで来てください。詳細を相談しなければならないので」
「王都に来たら飲もうぜ!」
「…私の酒癖忘れたの?」
「そうですね。二日酔いにでもなられて、その上急いで戻らなければならない事が起こるとも限らないですし」
ラックはアサギ先生と飲みたがっていたようだけど、ワイトがやんわりと
そして、秋には仮免許検定が行われる。
果たしてジアは無事合格出来るのだろうか?
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