第8話 夏の暑さと川遊び
村に来てから四ヶ月。夏休みが近付いて、段々と暑くなってきたわ。教室の窓を開けても暑い!
「「「あ~つ~い~」」」
みんな同じ意見。
「だからといって、風の魔法を教室の中で使ってはいけませんよ。
紙とかがあちこちに飛んでいって大変な事になりますからね」
私達の行動を予想したのか、アサギ先生に注意されたわ…。
私、その通りの事をやろうとしていたの。
行動を読まれたわ。さすが先生ね!
「でも、暑いのは確かですねえ。では、理科の授業は川で生き物調査にしましょう。皆、休み時間の間に、汚れてもいい服と着替えを持って、役場前に集まって下さい」
その時ちょうど授業の鐘の音が鳴って、みんな一斉に教室から出ていったの。
私も家に戻って、お母さんに説明して着替えを袋に入れてから、役場に行ったわ。
皆が集まって、役場の人も何人かいて、ショートパンツ姿のアサギ先生もやって来たから、近くの川へ行ったの。
役場の人達は、川遊びは大人も付いていないと危ないから来たんですって。
急に深い所もあるから注意しなさい、って注意されたわ。
皆少しずつ川へ入っていって、石の間にいる魚とか川原の虫とか色々見つけてかごの中へ入れていったわ。素手で捕まえられるなんてスゴイ!
「えいっ、やあっ、とうっ!」
持ってきたアミを持って川をすくうんだけど、中々捕まえられないの。意外と難しいわね。
「こういうのはこうやるんだよ」
そう言ってゼンがアミを持つと、ヒョイっとすくって小さな魚がとれたわ。スゴイ!
「よく見てアミを動かすんだよ」
ヒョイヒョイすくっていくゼン。
「ジアちゃーん、私が水の魔法使うから風の魔法使ってー」
同級生のアイちゃんに声をかけられて、そっちへ向かったわ。
「こういうふうに水を動かすから風をこっちから吹かせて、ね」
「分かったわ!」
二人で『せーの!』って声をかけて、
「それっ!」
「それっ!」
アイちゃんが水の玉を何個か川から取り出して、私が風で細かくして周りにかけたの。
「うわっ! 冷たいっ!」
「あー、気持ちいいー!」
バケツに入れた水をまいたみたいに皆にかかったけれど、気持ち良さそうね。
「「やったー! 成功!」」
アイちゃんと二人で喜んだんだけど、先生が、
「アイさん、ジアさん、学校以外では許可なく魔法を使ってはいけませんよ」
…課外授業だけど学校の外だからダメなのね。
周りでは、『あーあ、面白かったのに』とか『冷たくて気持ち良かったんだけどねえ』とか言っている声が聞こえたわ。
「虹、キレイだったなあ」
誰かがボソッと言ったのが聞こえてきた。
「そうそう!」
「水がキラキラして光ってたよねー」
「また見たいなあ」
先生に怒られているんだけど、皆の言葉を聞いてなんだか嬉しくなっちゃった。
「…では、お話はここまでです。皆さん、次の授業があるので学校へ戻りますよ」
ハーイって皆のお返事。
「ジアさん、アイさん、学校では先生の前であればあの魔法を使って良いですからね」
って、学校へ戻る途中で先生に言われたの。
私はアイちゃんと顔をあわせて、つい嬉しくてにやけちゃった。
「二人とも、どうしたの?」
私達の様子に皆が不思議がって聞いてきたんだけど、
「「内緒っ!」」
二人だけの秘密にしちゃった。ふふふ。
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