第5話 見習いの修行…やる事が多くないですか!?

 学校が休みの日は先生の所で修行する事になった私なんだけど…。

 「では、この草と葉っぱを森へ取りに行ってください。熊も出ますがこの首飾りを着けておけば近寄りませんよ」

そう言って先生は私に青い石が付いた首飾りをかけてくれたの。

「これは『魔女の弟子です』という証なのよ。

熊よけの魔法を掛けてあるから外さないようにね」

 そう言われて私は森へ草を探しに出たんだけど、広すぎて迷子になりそう!

「ちゃんと道しるべを付けて行かないと迷子になるにゃ」

黒猫のコクちゃんが付いてきてくれたわ。でもすぐに戻っていっちゃった。

 私は言われた通り、木に印を付けたりして迷わないようにしながら草を探したの。

黒いワンピースが泥だらけになったけど、半日かかってやっとカゴに半分くらいたまったから戻ったの。だけど、

 「お帰りなさい。まあ最初はこのくらいですね。慣れるともっと早くもっと多く集められますよ」

 いつも学校で話している丁寧な言葉なんだけど、ちょっとキツい言い方に聞こえるわ。

 そしてコクと掃除したりする合間に先生は、魔法を少しずつ教えてくれたの。

「この短い杖は魔女見習いが使う杖です。試験に合格して王様から免許をもらえたらちゃんとした長い杖を使えるようになりますからね」

 そう言って先生は庭の端にまっすぐな枝を刺して、その方向に自分の長い杖を向けて、

「イフリータ・サーラス・フレイア、炎よ、灯れ!」

その瞬間、枝に火が灯ったの!

 「枝に火が灯るイメージを考えて唱えてみてください。最初は何度もやらないと着かないかもしれませんよ」

 私は言われた通りに短い杖を降りながら何十回もやってみたんだけど、中々火が着かなかったわ。

「先生、火が着かないんですけど…」

「そうですか、火の属性魔法が向いていないのかもしれませんね」

 魔法には向き不向きがあって、修行しながらどれが得意かしらべていくんですって。

「先生はどの魔法が得意なんですか?」

「…風、ですねえ」

「ご主人さま空を飛びながら眠り薬を家畜にかけて、眠らせてから治療するのが得意なんですにゃ」

なるほど、そういうこともできるのね!

「先生スゴイです!」

本当にそう思ったわ。だって最初にだらしない格好を見てしまってから、正直ちょっと不安だったんだもの。


 次の月曜日、学校で特別授業が行われたの。

 「では、今日はホウキで空を飛ぶ練習を行います」

希望した人達がそれぞれホウキを渡されて校庭に来たの。

 「手にホウキをしっかり持って、またぐか横向きに座ってみてください。そして」

先生は自分のホウキに横向きに座って、

「空を飛ぶイメージを頭の中に浮かべて地面を蹴ってみてください」

 こんな風に、と先生が実演してみせたの。

フワッと宙に浮かんでそのまま上に上がっていく先生。

「スゴイ! こんな風に浮かんでみたい!」

 もう慣れたみたいに空を飛んでいる皆。

 私もホウキにまたがって飛ぶイメージをしてみたの。

 「飛べっ!」

フワッと宙に浮かんだ所で、降りてきた先生が私のホウキを掴んだの。

 「1回目で飛べるのは凄いですね。でも、飛び始めは勢いがつきすぎるので先生が抑えて制御してあげますね」

 自由に飛べると思っていたんだけど、遠くにポーンと飛んじゃうのも怖いんだって、後で教わったの。

 もっともっと練習しなきゃ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る