第4話 魔女の弟子…お断りでき…ません?!

 アサギ先生のお家で、向かい合わせに座る私とアサギ先生。

 アサギ先生は服装も身なりもちゃんとしてきている。さっきとは大違い。

 その周りでお茶を運んだりお茶菓子を用意したりしている黒猫さん。

汚れないように、なのかは分からないけどエプロンも着けているの。

だけど、後ろの紐はあの手(足?)でどうやって結んだんだろう?

 「お茶をどうぞにゃ」

「あっ、はい! ありがとう。いただきます」

そう言って私は黒猫さんから紅茶のカップを受け取った。

ハチミツが入っているみたいでいい香りがしている。

 「…では、ジアさんは魔女の弟子になりたくてうちに来たんですね?」

こっちを見ながらアサギ先生が聞いてきたの。

「先生は…魔女なんですか?」

しどろもどろになりながら私は先生に聞いてみた。

「そうですよ」

ニコリとしながら先生は答えてくれたの。

「えっと~、あの大鍋では魔法に使う物を作っているんですか?」

 部屋の中へ入ってきて気がついたんだけど、隣の部屋にある大鍋から段々とすごい匂いがしてきている。さっきまでいい香りがしていた紅茶の匂いがもう感じない。

「あれは、村の牧場主に頼まれて羊の胃腸薬を作っていたんですよ。

他にも人間用の薬も作ったりしますよ」

先生は薬を作るのが得意なんですって。

 「他にもホウキで空を飛んだり出来ますよ。今度授業で教えてあげますね」

ホウキで空を…やったー!!

 それはそうと、

「他の魔法って」

「ご主人さま、あまり魔法はお得意じゃないんですよねえ」

横から黒猫さんが口を出してきたの。思わず猫さんの方を見ながら、

「えっ!? 魔女なのに!?」

って言っちゃった。

 「ご主人さま、のんびりダラダラするのが好きなんですよ。

だから魔法の修行は基本は出来ますがあまり力を入れてやらなかったんです。

代わりに薬作りはとてもお上手なんですよ」

 なんだか私の中で魔女のイメージがガラガラと崩れる音がしたわ…。

「コク、あまり余計な事を言わないように。そうしないとご褒美マタタビあげませんよ」

「ごめんなさいですにゃ、ご主人さま!」

眉間にシワを寄せて黒猫さんを見る先生。怒っているみたい。

 「えーとお、それでは私は帰ります~。お茶、ご馳走さまでした~」

そう言って私は席を立ったの。そうしたら、

「待って!」

「待ってにゃ!」

二人(?)に呼び止められて私の肩を掴まれちゃった。

 「ここまで聞いたんだから弟子になるんですよね? なるんですよね?」

「お願いだから弟子になってにゃ~」

「…お断りします」

さらに肩を掴んできて、

「そう言わないで弟子になってにゃ~!」

「そうです! ここまで詳細、細かい事を聞いたら弟子にならなきゃいけない決まりがあるんですよ!」

 …えっ!? そうなの!?

私はまじまじとアサギ先生と黒猫さん、クロちゃんを見つめると、

 「…分かりました。弟子になります。ただし!」

1つ条件を付けたの。

「ちゃんとした魔法も教えてもらう事! じゃなければ弟子辞めますからね!」

二人(?)はコクコクとうなずいて、

「分かったわ! ちゃんとイロハを教えましょう!」


 こうして私は魔女のアサギ先生の弟子になったの。

ちゃんと修行して早く一人前の魔女になるって決意したわ!


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