第3話 この人が…魔女!?

 毎日学校に行くのが楽しみになった私。

「ジアちゃんおはよー」

「ジアー、これ傷によく効く薬草なんだ。やるよ」

「ジアちゃんこの木の実美味しいんだよ」

 人数が少ないからか皆親切に色々教えてくれるの。

おかげで薬草とかに詳しくなっちゃった。


 「では、今日は特別授業を行います」

 担任のアサギ先生が教室に籠一杯の野草を持ってやってきた。

「これらは森に生えている野草ですが、毒がある野草もあります。今日はその勉強をしましょう」

皆の机に紙を置いてその上に野草が配られたの。

 「では、図鑑で調べても良いので毒草か食べられる草かを見分けて下さい」

 よく見てみたりしたけれど、私は皆から教わった草しか分からなかったわ。

皆はすぐに「これは大丈夫、これはダメ」って分けていっていたの。

「みんな凄い! よく分かるのね」

私が感心していると、

「だって、飼っている羊とかに食べさせでもしたら大変な事になっちまうしな」

「そうそう。毎年それで死んでしまう牛とかがいるから詳しくないと!」

 …確かに飼っている生き物が食べないようにするには詳しくないといけないわね。

 「そうですよジアさん。ここでは生き物と共に暮らしている人が多いんです。そして生きる知恵を身に付けるための勉強なんですよ」

だから授業で教えるんだ! でも、次は魔法を教えてもらいたいなあ。


 それから数日後、私はゼンに聞いてみた。

「ねえねえ、この村に魔女か魔法使いが暮らしているって聞いたけど、本当なの?」

 ドキッとした表情でゼンはこっちを見たんだけど、

「…いるよ」

小さな声で教えてくれた。

「どこどこ?! どこに暮らしているの?」

興奮してつい顔を近づけちゃったから、ゼンは顔が赤くなっちゃった。

「えっえっと、も、森の奥に小さな家があって中に大きな鍋が置いてあるんだ。そ、それとちょっと離れて」

「あっ! ごめんなさい!」

私は少し離れたの。少しだけ反省したわ。だって鼻がくっつきそうな近さだったんだもの。

 「地図を書いてあげるから、この通りに行ってみな」

ゼンは紙に地図を書いてくれたの。

「ありがとう! 行ってみるね!」

 途中でクマが出るかもしれないから鈴を持っていくといいよ、って教えてくれたの。ゼンって親切だわ。


 日曜日、私はカバンに食べ物と地図と鈴を入れて森へ入っていったわ。

「えっと…この道をまっすぐ行って…」

分かれ道に迷っちゃったり、途中でキツネを見たり動物の鳴き声にビックリしながら森の奥へズンズン進んでいくと、大きな木で薄暗くなった所に小さな家が一軒だけあったの。

 正面から横に回って、窓から中をそーっと覗いてみると、かまどの上に大きな鍋が置いてあって湯気が出ていたんで『ここだっ!』って思ったの!

 入り口の扉をコンコンッてノックして、

「こんにちは~」

って声をかけると、

「はあ~い、お客様ですか~」

って声がして、中から二本足で歩いている黒猫が扉を開けてくれたの。

「ね、猫がしゃべった!」

 私が驚いていると、家の奥から、

「だあ~れ~?」

って、ボサボサ頭の女の人が出てきたんだけど、

「せ、先生!?」

「…ジアさん!?」

その人は担任のアサギ先生だったの!

先生が…魔女!?

 

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