第45話 クリスマス
12月25日、土曜日__ついにこの日がやってきた。
待ち合わせは10時だけど、6時に目が覚めた。緊張して寝ている暇ではない。冷たい水で洗顔して、しっかり保湿した。今日は運よく寝ぐせがついていない。朝ごはんを食べていると、母さんがテレビをつけたまま俺に話しかける。
「実梨ちゃんとデート?」
飲んでいた味噌汁を吹きだしそうになったけど、せっかく保湿した顔が汚れてしまうから頑張ってこらえた。
「ワックスかける?」
「……かける」
母さんが美容師でよかった。この後、母さんはすぐに仕事に行ってしまうから、ごはんを食べた後すぐにワックスとアイロンをかけてもらった。高校卒業までに頑張って使い方を覚えよう。
「はぁ、あたしもお父さんとデートしてこようかしら」
「行ってくれば? 仕事終わりに」
「あら、いいの?」
「うん」
「やった~! あとで連絡しなくっちゃ!」
気分が高まっているようだったからアイロンを振り回さないか不安だったけど、問題なさそうだった。
母さんが仕事に行くと、俺は家で一人になった。自分の部屋に行ってベッドに腰を掛ける。いつもなら、暇があれば本を読んでいた俺だけど、今は本を読む気にはならなかった。それよりもどうやって告白しようか考えていた。
今日は、池袋で昼食をとった後に散歩をして、16時から予約しているサンシャイン水族館に行く。水族館で告白できればいいんだけど……。いや、しないと。河田さんが背中を押してくれたじゃないか。二度も背中を押してくれたんだ。絶対する。
ずっと気持ちを落ち着かせていると、10時近くになった。待ち合わせの5分前に外に出ると肌寒い。黒のチェスターコートを着てきてよかった。待っていると、実梨の家のドアが開いた。
「おはよう~」
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