第34話 まずは挨拶
一日目__まずは、学校でいろんな人に挨拶をすることから始める。実梨は学校で俺と話したがらないのは、俺が女子にモテるからだけではない。俺と話すことがレアだと思われているから、近づきにくいんだ。だからクラスの人と話せるようになれば、実梨とも気軽に会話ができるはずだ。
今、教室にいるのは俺と、男子一人、そして女子が二人だ。三人に挨拶しよう。大丈夫、俺ならできる。これからの実梨との関係性を変えるためなら、なんだってするんだ。
席を立つ。「……あ、のさ」女子二人に声をかけると、目を見開かれた。「え? 澤田君?」俺もおどおどしていたけど、目の前にいる二人も動揺していた。
「おはよう」
視線は合わせられなかったけど挨拶はした。
端から見たらおかしいよな。なんでこの時期にいきなり挨拶してくるんだって話だし。変な人だと思われているかもしれない。
でもそんなことはなくて、普通に挨拶をしてくれた。
「お、おはよう!」
「おはよー」
これをきっかけに、人に対する見方が少しだけ変わった。後ろのほうにいた男子にも挨拶をすると、返してくれた。
あとからどんどん入ってくるクラスメイトにも挨拶をするために席を立とうとすると、さっき声をかけた女子が俺の話をしだした。
「澤田君に“おはよう”って言われた!」
「え!? 話すんだ……。私も言えば返ってくるかな」
「来る、来る。悪い人じゃないでしょ」
何人かの女子が俺の元へ来て挨拶をしてくれた。俺も挨拶をすると嬉しそうにどこかに行った。女子だけじゃない。男子とも話した。
チャイムが鳴りそうになった時、朝練帰りの実梨が教室に入ってきた。近くにいた新木さんは、実梨のそばによる。
「なんの騒ぎ?」
「澤田君がいろんな人に“おはよう”って言ってるのよ」
「え?」
「実梨も言ってきたら?」
ナイス、新木さん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます