第31話 実梨ちゃんって
「かーわーたちゃん!」
「えっ、実梨ちゃん!?」
声しか聞こえないから、どんな様子かわからない。とりあえずベッドに腰かけると、なんとなく実梨の匂いがして恥ずかしくなった。
あの二人は運動部同士で友達でもあるから、話が弾みそうだ。
「その頬……、実梨ちゃんが怪我するなんて珍しい」
「これね。バレーボールが当たったの」
「ベッドにいたってことは、体調悪い? 大丈夫?」
「仮病だから大丈夫!」
お母さんのように実梨のことを心配していた。
河田さんはバレーボールの授業で友達と衝突して突き指をしたそうだ。処置をしてもらいながら、河田さんは実梨に話しかけていた。
「佑樹君と幼馴染だったんだね」
俺の名前がでてきて焦った。
「みんなには内緒にしてほしいな」
「勿論」
内緒にしてほしい理由は、俺が女子にモテるからその人たちから責められないため。男の俺にはその理由がよくわからないけど、女子同士だと伝わるんだな。
「でも、なんで幼馴染なことを私には話してくれたのかしら」
「佑樹のことだから、信頼できる人だって思ったんじゃない?」
「あ~。よくわかってるね、さすが幼馴染」
まったくその通りだ。まっすぐに思いをぶつけてくれる河田さんなら信用できると思ったから、実梨とのことを話せた。あとは俺と先輩がもめて噂になった時、一番に俺から話を聞きだしてくれたのが河田さんだったから、そこでさらに信頼できたことが大きい。
河田さんは次に、俺がここにいづらくなるような質問をした。
「ずっと聞きたかったんだけど、実梨ちゃんって佑樹君のこと好き?」
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