第19話 昔のよう
話しかけてこなくなったのは俺が女子に人気になってしまったから、か。声をかけたら周りの女子に嫉妬されてイジめられるとでも思ったのかな。
そんな恋愛漫画のようなこと、現実で起こるのか?
「“先輩に告白された”ことを俺に相談してきたのは、話すきっかけが欲しかったから?」
この理由で合っていると思った。
でも、実梨は頬を赤く染めたから多分違うんだ。昔から、何か違うと思うとすぐに頬を赤らめるからわかりやすかった。
「そういうことにしといて」
「いや、教えてよ」実梨のほんのり赤らめた頬をつねると柔らかい。
「冷たい!」すぐに離される。
「ははっ、ぜい肉増えたんじゃない?」
「女の子に言うもんじゃないよ! もう嫌い」
「ごめん、ごめん」からかうのが楽しくなってきた。
もしも、実梨に好きだと告白してフラれたとする。
そうしたら昔のような関係には戻れなくなってしまうのかな。こんな風に二人でいれる部屋に二人でいられなくなってしまうのかな。こんなに近くで顔を合わせることさえも拒絶されてしまうのかな。
「佑樹?」いきなり黙った俺を不思議そうに見つめる。
それだけはいやだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます