第18話 「察して」は困る
「怒ってる? 目を合わせないようにしてたこと」
やっぱりわざと俺を避けていたんだ。
「怒ってない。なんでかわからないから不安だった」
「本当にわからないの?」
「わからないよ」
「察してよ!」
なんて無茶な。世の中の女子に言ってやりたい。男はそんな鋭いものじゃないと。
友達がいなくて片手で数えられる人数しかまともに話せない俺にとって気持ちを察することは超難関だ。ずっと一緒にいる俺でも実梨の考えがよくわからないのに、“察しろ”なんてわがままなこと言われても困る。
あ。もしかしたら、ずっと一緒にいたから俺のことが嫌になったのかもしれない。このことを確か倦怠期という。
「倦怠期だ」
「こないよ」
「そ、そう」嬉しい。
「もー、鈍感!!」バフ! ベッドに置いていた枕を俺の顔面に押し当ててきた。
ちょっと痛い。
「佑樹が女子にモテるから声かけにくくなっちゃったの」
「……そんなことで?」
俺が女子にモテていたのは事実だけど、そんなことで俺と関わらなくなったっていうのか。
「“そんな”って何よ。女の子から憎まれるの怖いんだよ!」枕を投げつけてくる。
枕を捕まえて膝の上に置く。実梨を見ると恥ずかしそうに頬を赤らめていた。
「私だってずっと話したかった」
この時、どうして実梨が俺に“先輩に告白された”と相談をしてくれたのか理解できた気がした。
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