第13話 苛立ちと憎悪
罰ゲームで、実梨に告白した__?
「来週のクリスマスすぎたら別れるんだっけ?」
「一応その予定。家行ってヤることヤってくるわー」
「本当性格悪いなぁ。よく付き合えたもんだ」
「教えてやる。女ってのは、優しくすればすぐ惚れるんだぜ?」
先輩たちの笑い声が響いた。その笑い声を聞いて泣きそうになったから、拳を握って、歯を食いしばって我慢した。
こんな奴が実梨のそばにいたのか。
実梨は言っていた。先輩はいつも支えてくれた、って。体育祭の時だって実梨に好きアピールをしていたくせに、まさかクリスマスを一人で過ごしたくないから告白したなんて思わない。
俺は、こんな奴の隣を勧めてしまったんだ。
「これからバイトだから、じゃあな~!」
「おー。またな~!」
俺は、今一人でいる西澤先輩のもとに行って無言で見つめた。下駄箱に背中をついて座っている先輩は俺に気づくと、スマホを触る手をやめて「えっとー、どちら様?」呑気に声をかけてくる。
「2年1組の澤田佑樹です」
「ああ! 顔がいいって有名だよな。うちの学年の女子が……」
「罰ゲームってなんですか」
雑談をしに話しかけたわけではないから、すぐに本題に入った。
「聞いてたのか」腰をあげて立ち上がる。俺より身長が少しだけ高い。
「本気で好きじゃないんですか」
「あー、はは。内緒にしてくれよ。ほら、これやるから」ポケットからぐしゃぐしゃの万札を出す。
その行動に、俺は苛立ちを抑えきれなかった。
ドッ!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます