第12話 教師の呼び出し
「帰りのホームルーム始めるぞー」先生が教室に入ってくる。
実梨に彼氏ができてから2週間ほどが経った。
さっき、昼食前に自動販売機で買った水を片手にもって教室に戻ると、後ろの扉付近に実梨と先輩がいるのを見かけた。機転を利かして前の扉から入ったけど、二人が楽しそうに話している声がよく聞こえた。
あの時、背中をおしてよかった。実梨は先輩と付き合ったことで以前よりも笑顔が増えた気がする。失恋した身だけど不登校になるほど傷つきはしない。
「澤田は、あとで教員室に来るように」
「え? はい」
俺、なんかしたっけ。
周りのみんなが帰り始める中、一人で教員室に向かうと先生と隣の小会議室に移動した。
なんの話かと思ったら、来年の選択の話だった。以前から提出しろと言われていた選択の希望表をだし忘れていたから、直接俺に聞くことにしたみたいだ。選択と言っても、文系か理系かを決めるだけだ。俺は先生に文系を希望した。
「澤田は理系だと思ってたよ」
「理系は無理です」
「俺が高校生だった時はなぁ__」
また始まった。この先生は話が長い。自分の話をしたがる癖があるから、捕まったら面倒なんだ。でも無視するのも失礼だから、最後まで話を聞いていると時間を見たら1時間は経っていた。
話が終わる頃には眠すぎて、今なら廊下でも寝れそうだった。
下駄箱に行くと、3年の下駄箱に見覚えのある人がいて、通り過ぎる時に横顔を見ると西澤先輩で合っていた。多分、実梨を待っているのかもしれない。
先輩のいる下駄箱の隣で靴を履き替えていると、あとからきた人が西澤先輩に声をかけていた。
「西澤? 誰待ってんの?」
「彼女!」威勢がいい。
「ああ。罰ゲームで告白したっていう」
「そーそー!」
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