第11話 一体異心:壱

四ヶ月の月日を経て本日が初任務の日である。

アジトの中庭に伯亜とエリスが集められ、その前にクレインと蓮我、そして黒瑠が立つ。

「あのー、蒼と輪廻は?」

「そっちの山奥で集合してる」

「何故?」

「それは、先ず、任務に当たる前にお前達には此処で戦ってもらうからだ!」

正面に立つ蓮我は確かにそう言った。

「はい!?」「よっしゃ!」

自身の耳を疑う伯亜と対に歓声を上げ、ガッツポーズをするエリス。

いや、答えになって無いような…」

蓮我は無視して更に進める。

「まあそういう訳で二人共、向かい合え」


柄頭に手を置きながら深く呼吸をして精神統一する伯亜。

エリスは塀に背中を合わせて両手を突き出す。


「それでは始め!」

蓮我の掛け声が響き渡る。

開始の合図と同時にエリスの両手に大気が集まる。

「"カレントブラスト 流気砲弾"!」

異能前行と共に一気に気弾を射出する。


強烈な突風が伯亜を襲う。伯亜は両腕で頭を防御し、踏ん張る。しかし強風に煽られ、背後の塀に強く身を打ちつけられる。

「あがッ!」

強風に気を引かれ、受け身を取る事が出来ず、ダメージを受ける。

(か、風。近付くのはかなり難しい。でも、近付きさえすれば、俺の土俵だ!)

伯亜は抜刀し、駆け出す。

「一気に来たわね!でもそうはさせないわ!」

再び、大気を収束させ、放つ。

僅かな大気の揺らぎが伯亜の黒髪を靡かせる。

伯亜はその僅かな揺らぎと殺気を察知して、気弾を一刀両断する。強風が伯亜の両脇を掠る。

「なッ!」

エリスだけで無く、傍観していた三人も愕然とした表情を浮かべる。

「そんな訳!」

向きになったエリスは幾つもの気弾を連続して射出する。

初弾を容易く斬り、"軌跡炎アフターグロウ"を発動させる。二つに千切れた気弾は灰炎を呑まれ、消失する。

灰の臭いが伯亜の嗅覚を刺激し、次弾の軌道を予測する。

「"忌炎灰読きえんかいどく"!」

次々と襲いかかる気弾を難なく斬り払う。

連続する攻撃の終弾を斬ったが、軌跡炎は発動しなかった。

(ッ!?まだ慣れないな。発動が確定じゃない)

軌跡炎の発動しなかった伯亜の様子を見て、エリスは気弾を放ち、追撃を仕掛ける。

気弾は伯亜の腹に激突し、吹き飛ばす。

伯亜は再び、塀に叩きつけられるが、痛がる素振りなど一切見せずに只々、対峙するエリスを見据えていた。

伯亜に見据えられたエリスの左右から烈風が吹き、髪を揺らす。


(なるほど…。そういうことか)

揺れる髪を見て、伯亜はある事―エリスの異能の真相を悟った。


エリスの異能〘カレントブラスト〙

大気を自在に手元へ収束させ、射出する能力。しかし一度射出した大気はその推力を失うまで事後、一切の操作を受け付けないというデメリットもある。


伯亜は右手に持った刀を固く握ったまま、ゆっくりと起き上がり、前傾姿勢で刀を構える。

(もう次は無い。今回で決める!)

深く息を吸って走り出す。


風が音を立てながら、収束する。

放たれた気弾を伯亜は斬り払う。しかし、軌跡炎は又しても発動しなかった。発動しなかったにも関わらず、伯亜の口元は緩んでいた。

態と発動しなかった事も知らず、気弾で追い討ちを掛けるエリス。だが、エリスの放った気弾を伯亜は忌炎灰読を使わずに予測し、スライディングで潜って避ける。

「クソッ!なんでよ!」

エリスは一歩前に出て背中を塀から離し、怒鳴る。

直後、エリスの左右に烈風が吹き荒び、背中を押す。

「し、しまった!」

前に押し出されるエリスと対極に伯亜は滑り込んでエリスの背後に回る。


「女の子が悪い言葉使うもんじゃない」

そういった伯亜の刃はエリスの頸元に向けていた。

エリスは舌打ちをした後、両手を上げて、降参の意を示した。

「はいはい、アタシの負け」

背後から聞こえた納刀音にエリスは振り返る。

「なぁんてね!隙あり!」

風を纏った拳を振り翳す。

伯亜はその拳を簡単に躱し、軽く投げ飛ばす。

「あ、痛タタ」

地面に頭を強く打ったのか、後頭部を擦りながら起き上がる。

「全く酷いじゃない!これでもアタシ、お嬢様なのよ!」

「三流の?」

「違ぁう!それよりさっきもだけど、なんでアタシの動き分かったのよ」

「それは…」

「それはお前が殺気駄々漏れだからだ」

伯亜の言葉を代弁して蓮我が会話を紡ぐ。

「それに単調な動きしかしてねぇからだよ。お前は鶏かなんかか?馬鹿が」

「アンタ、いい加減にしなさいよ!今度はアンタと勝負よ!」

「ああ良いぜ!望む処だ!」

「まあまあ、エリスも豪快に投げられていた事ですし、任務で勝敗を決めましょう」

間を割って隊長が提案をする。

「「それはいい!」」

二人は改まって返事をする。

「で、その自分達の初任務とはどういうものなんですか?」

「黒木さんの愛猫、"ノアール"ちゃんの捜索よ」

「えっ?ネクロの討伐は?」

「戦線の仕事は民の平和を守ること。それはネクロを討伐する事だけじゃない。風船が木に掛かれば直ぐ取ってあげる。迷子が居れば親元まで導く。それが俺達、英雄ヒーローの仕事だ」



「じゃあ私達は行ってるね〜」

クレインと蓮我は先にその場を立ち去った。

伯亜達は黒瑠に呼び出されていた。


「今回が初任務ですね。内容は愛猫探し。難易度としては低級で危険はありません」

そう言うと懐から一枚の写真を取り出し、二人に見せる。

その写真には一人の男が写っていた。

その男の袖から見える腕と顔の皮膚の色が一致していなかった。

伯亜はこの男から異様な気配を感じる。そして写真からも伝わるこの気配は何であろうかと疑問に思う。

「この男性は?」

「先程、危険は無いと言いましたが、この写真に写っている彼。彼のせいで低級の任務も危険になり得る可能性があります。つまり、彼はネクロ。しかもかなり高度な思考を持つ『思考種』。先週、光国からの侵入をクレインの使役する蟲が目撃しています。また、『緑樹りょくじゅ木霊こだま』の派遣隊員と音信不通。彼に殺された可能性が高いです」

「そんな…」

「光国から侵入?」

伯亜は率直に疑問をぶつける。

「思考種ネクロは生前の思考を維持したままネクロ化したネクロを指す。それはご存知ですよね?思考がある故に光国では普通の人間として生活出来るのです。ごく普通にスーパーで買い物をし、銭湯で風呂に入る。そして夜になればネクロとしての本来の力を取り戻し、人間を、獲物を狩る。直ぐ側に獲物がうじゃうじゃと居る。光国は言うなれば、『お菓子の家』と言ったところでしょう。それに我々の手も届きにくい。我々の異能も陽光の下では作用しない。しかしネクロにとって非常に都合の良い場所を手放し、何故、クリスティアに戻ってきたのか…。甚だ彼等の思考は理解し難いですが、まあ彼には気を付けて下さい。見つけたら私か蓮我、ボアを呼んで下さい。それほどで無ければ手に負えない。その知らせる連絡手段としてこれを使って下さい」

黒瑠は写真と同じ様に懐から携帯端末を取り出した。それは光国で普及しているケータイと変わらない見た目をしている。また、亀甲模様の刻まれたケースが嵌められている。

「これは電波の無いクリスティアでも使える携帯通信端末です。通称『マナフォ』です」

「それ正式名称なんですか?」

「まあ名前の提案者は私です。ですが誰も『マナフォ』とは呼んでくれないのです…」

「そ、そうなんですね」

「おっと、話が逸れましたね。ケータイの事、伯亜君は勿論、知ってますよね?使い方は変わりません。エリスは初めてでしょうが。まあこれは使用者の日食エクリプス因子に反応して起動します。これは意識を集中させる必要があるので戦闘中は使用出来ません。後、まだ開発段階なので一般的にはまだまだ普及していません。ですから周りに余り見せびらかせないように」


端末を受け取った伯亜達はアジトを後にした。

「ねぇ。気になってたんだけど…」

「ん?何?」

「何で蒼を助けたの?」

「え?だって、目の前で人が死ぬなんて見たくないから」

「てっきり、可愛いからかと思った」

「な訳…ないでしょ。そういえば、輪廻とはいつも一緒だよね?」

「何?もしかして蒼が男だからって今度は輪廻を狙ってんの?」

「ち、違うってッ!」

突拍子も無い質問に慌てる伯亜。

「あっそう。まぁ輪廻は私の生き甲斐だから」

「そうなんだね。何となく分かる気がする」

「アンタなんかに分かられたく無いわよ」

「いちいち、毒吐なよ…」

唐突な毒づきに項垂れる伯亜。


「じゃあ、ここからは手分けして探そう」

十字路で伯亜とエリスは分かれる。


黒木さんの愛猫、ノアールを探すこと数時間。

金木犀の街路樹の枝の上、苗木の中、路地裏の換気扇の上など、猫の居そうな場所は手当たり次第探したが見つからなかった。


「あの、一寸宜しいですか?」

一人の老婆が伯亜に話しかける。

「貴方、此処らでは見ない顔ですね?何処からいらしたの?」

年配者や子どもは勘がよく光国人と気付かれやすいと事前に黒瑠から知らされていた。

「虹都から来ました。黒都の文化を知りたくて。そのついでに黒鋼の亀甲の手伝いをしてるんですよ」

そう答える様に言われていた。


クリスティアでは光国人の差別が幾度となく問題となっている。かつてはもっと多くの人間が差別的であったが、クリスティアの新たな政策として行き場を無くした光国人を受け入れる様になり、多少、差別は減った。しかし、今でも光国人を嫌う人間が少なからず居る。だから事を円滑に進める為に伯亜と蒼は光国人であることを隠して生活することになった。


「黒都での生活はどうですか?慣れましたか?」

伯亜は道端のベンチに座って老婆と話し込む。

「まあ多少は慣れましたね。あ、そうだ。処で、この辺りで黒木さんに飼われている黒猫のノアールちゃん、見ませんでしたか?」

「あら、貴方が家の子を探して下さってるのね」

「え?」

「ノアールちゃんは私の飼い猫さ。とても変わった子でね。左右の目の色が違うのさ。オッドアイとかだっけね?捜索の手がかりになったら良いんだけどねぇ」

「凄く珍しい猫ですね。となると誘拐される可能性もありますね。オッドアイの猫は黒市場ブラックマーケットで高値で取引されていたりするので心配ですよね。俺が即急に見つけ出します!」

「あらあら、ありがとね〜」

「他に特徴はありますか?例えば首輪とか」

「あの子に首輪は付けてなくてね。窮屈そうで付けられなかったのさ。特徴じゃないけど、あの子は完全室内飼いだからね。外より中に居る可能性の方がきっと高いさ」

「成程、分かりました。ありがとうございます。俺に任せて下さい!」

「じゃああの子を宜しくお願いしますね。いけない、もうこんな時間。これから買い物だから近所のスーパーで半額セールだから」

そう言って老婆―黒木は立ち去った。


伯亜もベンチから立ち上がろうと屈むと靴紐が解けているのに気が付く。

靴紐を結んでいると再び、誰かが話しかける。

「こんばんは。いや、はじめまして。君の抱えている負の念は実に良い」

伯亜は話しかけられるまでその者の気配を感じなかった。

(気付かなかった。気配がない?いや、今は感じる)

伯亜は瞠目し、顔を上げる事も出来なかった。

(何者だ…。この気配、人間じゃない!)

伯亜は刀を抜き、その男の心臓に目掛けて刺突を放った。

刃先は一切の傷を付けずにその者の掌で止まっている。

「なッ!」

伯亜は思わず声を漏らす。

「君。戦線の人間だろ?酷いじゃないか。僕はこの国の民で、君に守られる存在なんだけどなぁ。君に刃を向けられる筋合いはないよ」

「何がこの国の民だッ!お前、人間じゃない」

「黙れ」

その一言で伯亜の言葉は消えた。何度も声を発するが、音にはならなかった。また、体も言うことを聞かない。

男は伯亜の顎を掴み、顔を上げさせる。

伯亜の目の前に現れた血色の悪い顔は醜い笑みを浮かべている。

「矢張り、そうだ。君の心、死んでるね」

そう言うと伯亜の左胸に手を当てる。

「"無名死胎ネームレスネクロ"。君に名を授けよう。僕の手駒へ返り咲け"フシ"」


「何言ってんだ手前ェ」

伯亜は左手に握った鞘を離し、男の腹へ打拳パンチを放つ。

「何故。何故だ?」

男は殴られると同時に間合いを切り、自問する。

「俺に名付け?そんなもん要らねぇよ。俺の名前は玄影伯亜ッ!いつか戦線の総隊長になる男だッ!」

伯亜は切っ先で男を指す。

「そんな唯の育ての親が付けた名前に拘る必要はないじゃないか。さっさと生まれ直せ」

男はそう言うと伯亜の足元に視線を落とす。

伯亜も釣られて足元に目を向けると一つのボールが転がっていた。

「お兄ちゃん。其処のボール取って〜」

男の傍らに立つ一人の子どもが伯亜に呼びかける。

その声を聞いた瞬間、男は口元を歪める。

「君ッ!其処から離れてッ!」

伯亜はそう叫ぶが、声が届く前に男と子どもは消える。

「フハハハッ!」と男の哄笑する声が伯亜の頭上から聞こえる。

伯亜が上を向くと其処には男が子どもを抱えたまま壁に直立していた。

「君の心も死んでるね」

男が子どもの耳元で囁くとその子どもを離す。

伯亜は子どもの落下地点に滑り込み、受け止める。

「君は勘がいいからもう分かると思うけど。僕はネクロの明主、日月非人かげつ ひびと。また今度会おう。玄影伯亜とらかげ はくあ君」

「待てッ!手前ェ!」

「おやおや、その子は放っといていいのかな?民を守れよ。じき総隊長さん」

「くッ!君ッ!大丈夫か!」

非人を追いたい気持ちを抑え、伯亜は抱き止めた子どもの顔を覗き込む。

子どもはガッと顔を上げ、伯亜の頸元に噛み付く。

伯亜は子どもを突き放す。

子どもの瞳は赤黒く充血し、犬歯は鋭く伸び、肌はだんだんと黒化していく。

子どもは直に紛うこと無き死胎ネクロと化す。



あるオフィス内で一人の男性が鞄の中を探っている。

「あれ?事務所の鍵、何処やったっけ?あれ?マジで無い」


その背後に忍び寄る怪しい影があった。

それはあの写真に写っていた一人、いや一体のネクロだった。

その死胎ネクロ融異ゆういは自身の背後に手を回し、足元に一つの赤い肉塊を落とす。

その肉塊はパッと音を立てて、口を開き、不解な声を発する。

「イ"マスグ…チ"ョウダイ」

その声に気付き、男性は振り返ると、そこには薄気味悪い肉塊―【キス ミー クイック】だけがのさばっていた。



黒都に騒々しい警報音サイレンが鳴り響き、日常は失われていた。

人々は避難所に向かって慌てて走っていく。それとは反対に死胎ネクロの現れたビルに向かって疾走る少年少女達。黒衣黒髪の少年の瞳には涙が浮かんでいた。


「中に取り残された男性は経の砂で助けるとして…。問題は誰が潜入するか」

「俺が行きます」

伯亜は真っ直ぐな眼差しでクレインを見つめる。

「もう泣く遺族を見たくない」



「ま、待ってくれ…。俺はお前に何もしてないだろ?」

男性は恐怖から壁にもたれ掛かって言う。

「イ"マスグ…キス…シテ」

肉塊に男性の声は全く届かない。


突然、男性の横の窓が割れ、砂の鳥とその上に乗った一人の少年が現れる。

「早く掴まって!」と少年は男性に向けて手を伸ばす。

男性は透かさず手を掴む。

途端に少年は男性を引き上げ、その代わりに自分自身はその場に降り立つ。

「カレヲ…カエ"ジデ」

肉塊は一瞬だけ蠢き、自身の肉を男性目掛けて伸ばす。

「キモいんだよ。そこで震えてろ」

伯亜は刃を振るい、伸びた肉を斬り落とす。

「ベ、ベツニ…キミデモイイヨ?」

肉塊は再び、蠢動しゅんどうし、伯亜を目掛けて飛翔する。


「俺は…興味ねぇよ。失せな。死に損ないが」

刀を振り下ろした伯亜はそう吐き捨てる。


「失せるのは君の方さ。」

伯亜の背後から声が聞こえた。

振り返るとそこには写真に写っていたネクロがいた。

「"混淆こんこう葡萄酒ワイン カベルネ"」

融異がそう唱え、異能前行を終えると床から天井にかけて葡萄の蔓の様な赤い紋様が浮かび上がり、直後、水が滲み出すかの如く肉が溢れ出す。床も天井も壁も、その空間の全てが赤に染まる。

融異は今度は指を弾く。

「ン、アッ!」と音を立てて、伯亜の足元に大きな口が空き、伯亜は一階に落とされる。落下の直後、天井を見上げるが、其処に穴は無く、赤い肉の膜があるだけだった。


「チッ」と伯亜は舌打ちをし、立ち上がる。


次の瞬間、うつつとは思えない光景が伯亜の目に映った。


肉壁が蠢動し、人型の肉塊が出来上がる。

「動くな!それ以上近づくなら…容赦はしない!」

伯亜は刀を構え、威嚇する。

ネクロなら問答無用で斬りかかるが、気配からその人型は人間であると感知していた。

「タ、タスケテ」

歪な口元から声を漏らしながら、伯亜に手を翳す人型。

伯亜はより警戒意識を強める。


対峙する二人の様子を融異は肉壁から出した眼球を通して観察している。

「さあ、お手並み拝見といこうか」


融異の異能〘混淆の葡萄酒〙

異なる物質同士を融合する異能イビル。彼の操る肉塊は本来は人間であったものを自身の肉体に融合したもの。


人型は翳した手から雷球を創造し、放つ。

「タ、タスケテ」

「さっきから言ってる事とやってる事の矛盾が凄いぞ。アンタ」


「その雷球に触れれば、お前は感電する」

融異はにんまりと笑みを浮かべ、更に続ける。

「また、莫迦な小僧が一人死ぬ」

そう呟いた。しかし、伯亜が死ぬ事は無かった。

伯亜は雷球を素早く切り払い、感電するかと思われたが、軌跡炎を発動し、電流を相殺する。

伯亜はそのままの速さを殺さずに人型の頸を落とした。

「済まない。間に合わなくて」


「な、なんだ…。あの異能イビル。欲しい。欲しいッ!」

伯亜の灰炎が目に焼き付いた融異は声を上げる。

「これぞ、俺の求める真の破壊的異能はかいてきいのう!」

天を仰ぐ様に見上げ、嬉々として融異は叫ぶ。

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