第4話 改変する力
かなり長い間、誰かと話していた感覚だが、怪物はまだ右腕を振り上げたままだった。
その時、足元に灰色の紋様が浮き上がり、淡く光る。その紋様の中央から目の前に掛けて、禍々しい刀が現れた。伯亜は肩に掛けた
その刀の鞘は蛇の体表の様にザラザラしていた。
抜刀した際に斬り上げられるように刃が下を向くように帯刀し、意識を集中する。
自然と心臓の鼓動が耳元で鳴り響く。
きっと原因はこの怪物なのだろう。しかしそれだけでは無い気がする。だが今の伯亜にはよく分からない。
怪物は振り上げた右腕を振り下ろした。
相手の動きに呼応する様に勢いよく抜刀する。
斬れた。怪物の右腕が飛んだ。
血は飛び散っていない。
(血液が無いのか?まあ今はどうでもいい…)
それより何故か体が自然と動いた。それには伯亜自身も驚きを覚えた。
居合なんて剣道でもやった事が無いのに、ただ興味があってそれを頭に知識として取り付けただけだった。
(意外とやってみるものだ。この刀のおかげだろうか)
伯亜に斬られ、宙を舞っている右腕が灰色の炎に包まれ、燃えて無くなってしまった。
その時の灰の匂いが、つんっと伯亜の鼻を刺した。すると、なぜか怪物の次の動きが掴めた。
その予測では怪物は少し怯んだあと、直ぐさま残った左腕を持ち上げ、振りかざす事になっている。
その予測通りに怪物は少し怯んだあと、直ぐさま残った左腕を持ち上げ、振りかざしてきた。
伯亜はその場で跳躍し、刀身でその攻撃をいなす。
激しく火花が散った。それ程怪物の体が硬い証拠だろう。
怪物の攻撃を完全にいなし、怪物の胸部を横一線に切り裂いた。怪物はその場に倒れ込んだ。
これは日の下で生きる事の許されなかった邪な力を持つ者達の日食の物語。
伯亜も気が抜けてその場に座り込んだ。
伯亜の足元に一つ赤色に光る石が転がっていた。
伯亜はそれに魅せられ、手を伸ばし、拾った。
一息つくと、刀を鞘に納め、そばに置いてあった竹刀や木刀が入っている袋に押し込んだ。石をズボンのポケットに入れた。それにしてもさっき伯亜に語り掛けてきたあの声はなんだったのだろうか?そう思ったときには、謎のテレパシーは途切れていた。
もう考えても仕方ないと思考を中断して、俯けていた顔を起こすと、視界に
「えっ…」
沈黙が少し続いた。伯亜は見られてはいけないものを見られたという感覚と関わってはいけないようなイタい髪色の二人組と目が合ってしまったという感覚に陥り、その場から逃走した。振り返ると、二人組が慌てて追い駆けてくるのが見える。すると、足元が急に柔らかくなり、足が
その瞬間、真横に二人組の男の方が突然現れ、伯亜の腹を殴った。
そして男に腹を殴られ、伯亜は気を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます