第15話証拠
僕はにこりとして、言葉を続けた。
「夏木さんの殺害は、あんたに取ってはハプニングだった。事件を嗅ぎ回る彼をあんたは見張っていた。そして、夏木さんが僕に電話している声を聞いて、とっさに警棒で殴り殺したんだ」
「決め手に欠けるな~、刑事さん」
「では何故、制服に血が付いているんですか?それは返り血じゃないんですか?」
「これは、発見時に死亡を確認するときに、遺体に触れたからですよ!戸川先生が見ている」
「私は目撃しました。黒井川さん」
「じゃ、寺山さん警棒に血が付いているのは何故ですか?」
「バカじゃないのかな?あんた。だから、遺体に触れた時にくっついたんだよ」
「あなたの警棒は伸縮型警棒です。だから、これが証拠です」
「何を言ってるんだ」
「あんたは、夏木さんをとっさに殺害しなくてはならなかった。だから、その警棒で殴り殺したんです。だから、この伸縮警棒の中身に血液が付着していれば事件は解決です」
「あはは、この警棒を調べたければいくらでも調べろ。もう、茶番は終わりにしようや」
「何故?警棒を洗ったから?あなた、現代の科学がどれだけ進歩しているのか知らないんですか?血液の後って、水で洗っても残るんですよ。残念でしたね」
「何だと?」
「言った通りだよ!」
「フッ、チェックメイトか。夏木を殺したのはオレだ。潔くだな」
寺山は独り言のように呟いた。
「お、お兄ちゃん、どうして……」
声を出したのは北園友子であった。
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