第13話知りすぎた男

夏木はある事に気付いた。15年前の大島明自殺のからくりを。病院の金を使い込んだのは、別人だと。そして、尼ヶ坂病院に勤務する人間の中に犯人らしい人物がいることも。

これは、スクープだ。

取り敢えず、刑事の黒井川に連絡を取ってみよう。夜の8時だが大丈夫だろう。

夏木は、病院の電話室に入り黒井川に電話した。

「もしもし、黒井川さんですか?」

【はい、どうされましたか?】

「15年前の事件で新しい情報を入手しまして。犯人の目星も付きました」

電話室の扉が開いた。

「何だ!」


バキッ!


「ぎゃっ!や、やっぱりお前がやったのかっ!」

【もしもし、夏木さん?大丈夫ですか?】

「は、犯人は……」

【犯人は?】


ドゴッ!


夏木は絶命した。

「あんた、サルのクセに知りすぎたんだよ!」

犯人は立ち去った。


しばらくすると、ガードマンの寺山光一が電話室で倒れている夏木を発見した。

寺山は頭部から出血している死体を発見し、

「誰か~!」

と叫んだ。

すると、直ぐに声に反応した戸川達也医師が駆けつけた。

「先生、私は警察に連絡しますんで、ここお願いします」

「こりゃ、出血が酷いな」

「私の制服にも血がついちゃいました。電話室を開くと血の海で」

「大変だったね。こっちは任せてと言うより現場保存しておこう」

寺山が110番すると、15分後には警察関係者で一杯になった。

「やあ、ワトソン君」

「あ、黒井川警部」

「君が夜勤の時に限って、殺人事件が起きるね?」

「もう、イヤになっちゃいますよ!後、もう1人。外科の黒岩先生も夜勤です。救急外来の」

「あ~、大変だ」

「黒井川警部、これでこの事件で3人死にました。犯人は誰か分からないと、私は不安で」

「たぶん、間も無く解決しますよ!」

「本当に?」

「九分九厘」

僕は、既に犯人が分かっていたが、決め手が無かった。

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