第12話真実
夏木は独自で、15年前の当時尼ヶ坂病院の事務長だった大島明の自殺について調べていた。
入院中、外出の許可をもらいある場所で事務長の家族構成から親類まで調べ上げた。
その情報を元に、事件の点と点とを繋げた。
そして、その事をネタに記事にするため病室で執筆していた。
ドアをノックする音が聞こえた。
夏木は原稿を布団に隠した。
「どうぞ」
すると、一見ホームレスの用な男がドアを開いた。
「私、愛知県警の黒井川と申します」
「あ、警察の方」
「はい、今朝、戸川先生から電話がありまして、あなたが大分病院の内部事情にくわしいとお聞きしましてね」
「どうぜ、そこの椅子に腰かけてください」
「じゃ、お邪魔します」
僕はビニール袋から飲み物を取り出した。
「夏木さん、お茶、缶コーヒー、コーラがありますが、お好きなモノを」
「じゃ、コーラもらいます」
「私は缶コーヒーで」
2人はしばらく沈黙して、
「夏木さん。10年前の医療ミス残念でしたね。お察しします」
「いや、刑事さん。あれは、もう終わった事です。それより、この平坂医師と山下看護師長の不審死で頭が一杯です」
「15年前も不審死がありましたよね?」
「はい、この病院の事務長が自殺した事件です」
「いゃ~、さすがですな。ライターさんは。我々も調べは付いてます」
「実は、あの自殺は裏があるんですよ」
「ほ~、興味深いですな」
そう言うと、僕は缶コーヒーの残りを一気飲みした。
「いいですか?オレは単なるライターじゃない。色んな所から情報を得ている。残りの山場を乗り越えたら、刑事さんに報告しますよ」
「気を付けて下さいよ」
「大丈夫です。極真空手やってますから」
「こちらも、捜査を進めます」
僕は病室を後にした。
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