第4話断定

検死の結果が出た。頭蓋骨骨折による、脳挫傷で死亡。

僕は若い刑事に尋ねた。

「頭蓋骨骨折は分かるけど、前頭部の陥没骨折って何?」

「さ、さ~。検死に当たった黒岩先生に話し聞きますか?」

「そうだね。行ってみよう。堀君、後、防犯カメラの記録も確認したいな~」

「はっ!」

2人は、黒岩医師の説明を聞きに行った。

外科の『黒岩進』とネームがある診察室には、複数の書類を作成中の黒岩医師がいた。

側には、ワトソン君もいた。

「お仕事中すいません。事件を担当している黒井川です。検死の確認に参りました」

黒岩医師はワトソン君にいくつか指示を出して僕の方を振り向いた。


「あ、警察の方?」

「はい」

「この事件ね、殺人事件だね。後頭部だけでなく、前頭部に陥没骨折が見つかって、誰かが布きれで巻いた鈍器で滅多打ちにして、4階から死体を投げ捨てたんだよ!」

僕の思った通りだ。

「黒岩先生、今日はあなたも宿直ですか?」

「はい。言っておきますが、今夜は研修医の指導医師って事でずっと研修医の側にいましたから、私にはアリバイがある」

「僕は先生を疑ってはいませんよ。一応、聞いただけです」

「だけど、平坂先生はトラブルに巻き込まれるような、人間じゃなかったのに……」

「ありがとうこざいました」


僕は防犯カメラを確かめに、警備室へ向かった。

事件前は、看護師と警備員しか防犯カメラに映ってない。

その後、出入りもない。今夜は、夜間外来は発熱で訪れた30代の男性患者しかいなかった。

看護師の北園友子は平坂先生に肺炎の高齢者に必要な指示を受けに来て部屋に入って3分で出てきた。

また、警備員の寺山光一は鍵のチェックで4分で病室から出てきた。

この2人が最後であった。

この時間が9時45分。

その、15分後、死体は警備員に発見された。


僕はこの密室殺人事件が事件を複雑にしていくのだと、頭を掻きむしった。

取り敢えず、頭を冷やしに病院敷地内から外し、コンビニで羊羹ようかんとアイスコーヒーを買い近くの公園で休憩した。

喫煙もしたことを記しておく。

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