第2話遺体発見

夜11時過ぎ、尼ヶ坂病院の敷地内には数台のパトカーが止まっており、赤色灯がやけに事件の凄惨さを物語っている。

「死体はどこ?君!」

「はっ!死体は今病院内です」

「第一発見者は?」

「この、あ、あま……」

僕は舌打ちをして、

「尼ヶ坂病院。実は午前中、ここに居たんだよね」

「第一発見者は、この尼ヶ坂病院のガードマンさんです。夜の巡回中に発見されました。え~と、寺山光一さん28歳です」

僕はビニールシートに囲われている、現場に入った。


「あっ、黒井川警部!」

声を掛けてきたのは、若い刑事であった。

「遺体は、平坂圭吾さん63歳ですね。この病院の内科部長です」

「えっ、平坂先生が?僕はその先生に風邪薬もらったんだよ。人間は皮肉だな~」

僕は若い刑事に尋ねた。

「君、名前は?」

「堀健太郎であります」

「遺体は病院って聞いたけど、なんで?」

「はっ。遺体の頭部の損傷が激しかったのですが、救急外来がありますので、救命を試みたそうです」

僕は現場の血溜まりを見て、病院の4階のドアが開いているのが見えた。


「ねぇ、堀君」

「はっ!」

「平坂先生、あそこから落ちたの?」

「はい。遺書らしきものもありまして」

「じゃ、4階案内して」

僕と堀は4階に向かった。

すると、通路で僕を呼び止める声がした。

「黒井川警部!」

振り向くと、戸川達也だった。

「あれっ、ワトソン君、今日は泊まり?」

「いいえ、私は今週までに外科に患者の資料を渡さないといけないもので、残業していたら、平坂先生が……」

「ワトソン君も内科だよね?」

「正確に言えば、循環器内科です」

「で、救命に当たった医師は?」

「私と黒岩先生です。外科です」

「たまたま、残業?」

「いえ、黒岩先生は当直です。後は、研修医が3人。私も事情聴取されるんですよね?」

「まあね。事件が事件だから、悪いね。じゃ!」


堀健太郎が僕を案内した。

部屋には、レントゲン写真が数枚あり、僕はパソコンに興味を持った。

そこには、

【私には耐えられない。これ以上は無理だ……】

「何これ?堀君」

「遺書だと思いますが……」

僕は奥が深い事件だと確信した。


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