第5話 こだわりの2文字熟語

字が下手な事に、悩まれている方は、いらっしゃるのではないだろうか。私もその一人だ。

だから、小学生の頃、習字の授業が嫌いすぎて「スズメが教室に乱入してきて、授業中止にならないかな」なんて妄想をよくしていた。


小学生の頃、習字の授業の課題で書いた「化石」。それまでこの言葉は好きでも嫌いでもないし、人間関係で例えるなら、ただの知り合いで特別な感情はなかった。

しかし、私たちの関係はある日を境に突然変化した。

「化石」が、「みんなのお手本作品」になったのだ。これは、クラスで一番上手にかけた、という勲章である。


「習字が上手な子たちを抑えて初めての1番・・!?」という事に単純な私は、素直に喜んだ。そこから化石と私の関係性は変化した。

某ポケモンゲームでは「貝の化石と甲羅の化石どちらが欲しい?」とゲーム内で聞かる。私は「両方手に入れる方法はないか?」とあらゆる攻略本を読み漁ったり(どちらか一つしか受け取れず落ち込んだ。)化石が発掘されたというニュースをみたら「よくぞやった!」と何にも関係がないのにハイテンションで喜んだりした。


しかし、別れは突然やってくる。

その日の授業は、自由に習字で文字を書いてみよう!というテーマだった。

もちろん私は、強い絆で結ばれた「化石」を選択した。

しかし、数年ぶりに書いた「化石」は誰が見ても何回かいても下手だった。

「なぜだ?あの日以降、私たちは絆を築いてきたじゃないか!裏切りものぉぉぉ!」と、あっさりと私たちの関係性は崩壊した。


簡単に手に入れた関係は、簡単に壊れるのかもしれない、と

小学生の私は悟ったのであった。それ以降「化石」のことは考えないし、「化石」について情報を拾いに行くこともなくなった。あぁ・・あいつ元気かな・・?





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世の中の知らないをおいしく食べたい。 なぎこ @aikororo1226

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